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楠の会だよりNo.266号(2024年8月)記事より

何も後悔することがなければ、
人生はとても空虚なものになるだろう
              (ファン・ゴッホ)
      

親の会に参加して何を期待したらいいだろう
先月、先々月からトラウマについて、集中的にここで取り上げてきました。実は今、発達障害(特にその中の自閉症スペクトラム障害)とアタッチメントは、よく関係していることが、児童精神医学領域中心に、様々な書籍を通して発信されているそうです。
ここで先月号に残していた服部雄一氏のひきこもりの治療について、希望の持てる見解をご紹介します。もう親たちは諦めがちですが、もともと力はある、ということです(今は治療と言わず支援と言っています)。

“ひきこもりの治療では「本当の自分を取り戻すこと」を目的にします。幼児期から親にも隠してきた本当の自分は、人間を警戒しています。しかし、そんな「本当の自分」が人間とコミュニケーションを持つと、生きる力が戻ってきます。
ひきこもりは治療可能な病気です。
本当の自分が復活し、セラピストに本音を言えるようになると、人間への安心感が戻ってきます。人を求める気持ちがもどったひきこもりは周りが無理強いしなくても、自分の意志で社会に戻る努力を始めます。
本当の自分には次のような特長があります。
1. 感情(生きる力、願望、自発性)がある
2. 決断力がある
3. 人と関わる能力がある
4. 成長する能力がある

〇親が死亡するか介護施設に入れば … 
私たちは彼らに就労や社会参加を口にせず、しかし何とか支援につなげたいといろいろ考えてきていますが、なぜ彼らが動こうとしないのかもどかしい思いをしてきました。そのわけが、幼少時代からアタッチメント・トラウマを抱えていることに気づかず、またはうすうすわかっていたが、そのことがこれほど彼らを追いつめていたとは思い至らず、その対応を怠って年月を重ねてきた、このことがひきこもりからの脱出をこんなに難しくしていたと、納得できるのではないでしょうか。
先日のある支部会では、年齢の高い人たちがひきこもりから救われた例を講演会などで聞いてきたが、殆ど親が死ぬか介護施設に入ることによってだった、つまり親がいることがひきこもりから抜け出すチャンスを失っている。この事実をよく踏まえた上で今後を考えていこうと言うことになりました。

〇家族をひらく
30年近くひきこもり支援を続けてきたNPO法人ニュースタートが今年いっぱいで閉鎖します。主宰者である二神能基さんは「まずは親子の対話から」なんて信じてはいけない。ひきこもりは、親子が理解し合って解決することもあれば、理解し合えないからとわかってから解決することもある。家族をひらき、第三者を介入させよ。解決なんて無理と認めるなかれ。一歩踏み込む「おせっかいな支援」をすれば、ほとんどのひきこもりは自立可能だ」と断言しています。
家族が見守りだけでなく、継続して支援につながりを持ち、何かチャンスを狙っていくことが肝要ではないかということだと思います。「家族をひらく」とは、子の存在を隠さないこと。隠すとは子から言えば、親から否定されていると言うことになります。生きる気力が出るでしょうか。
親の会は、その”家族をひらく”ことができる場所です。親がまず社会とのつながりを持ち続け、親子に役立つ何かのご縁をいただく場所です。今世の中は大きく変化しています。ひきこもりにも順風が吹いています。諦めずに小さな行動を起こしていきませんか。(記 吉村)

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< 投稿Ⅰ >
息子とのコミュニケーションを増やしていく

これまで次男といかにコミュニケーションを増やしていくか、その方法をいろいろ考えてきましたが、これはよかったと思うのが、上から目線でなく同じ目線で、偽りなく、あい対することを心がけてきたことです。考えてみればもう40歳になるのですから、身近なことなど折あるごとに彼に相談するように心がけてきました。近頃彼もまともに自分の意見を言うようになりました。
失敗したことと言えば、キャッチボールでした。私が自分の体力を過信していました。ボールを暴投したり続かないことです。これはもう私の老いの自覚の足りなさでした!
上手くできたことは、スナックへ飲みに誘ったらついてきたことです。3回か4回か成功しました。店内でカラオケを勧めますが、歌ってくれません。だけれどスナックのママさんが上手く対応してくれます。そして帰りがけは私が飲んでいるので車を運転してくれと頼みます。仕方なさそうに付き合ってくれます。ただ今後どうもうまくいかないだろうと予想するのは、私がもう夜についていけないことです。彼は夜にやたら強い!
もう一つ、タマスタ(タマホーム・スタジアム筑後)に見物に行くことを計画するのですが、私の仕事との関係でうまく日程の調整ができません。私も彼もソフトバンクフォークスは大ファンなので、ここで一緒に観戦したいのですが残念です。そうですね、ここで家族以外の人にやってもらえればいいのだと思います。今後はその方向で誰かにつなげることができるよう、機会をうかがっていきたいと思っています。(会員K・T)

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★筑紫野の集い 7月10日(水)13:30~15:30 (筑紫野市生涯学習センタ-) 参加者5 名 (女性 5 )

〇 Aさんは、息子さんと回転ずしの店で和やかな時間を過ごしたことを笑顔で話した。それまで苦手感をみせていた外食の店とは違って、意外に落ち着いており、次の注文を出すのも何か楽しんでいるように見えたのだった。
これは、先月の「集い」でアドバイスをもらって以来の効果にちがいないと、Aさんは続けた。その時まで、息子がプラモデルが好きなことはよく知っていたが、どんなところが好きかなどには 関心がおよんでいなかった。アドバイスというのは、その好きなところを色々きいてみたらということだった。そう言われて、息子の好きなことをもっと知っていたいとの思いになり、「どうしてソレが好きか?」「そのドンナトコロがおもしろいか?」などの問いかけを意識的にしてみたのだった。
母親からの質問に息子はそれなりの言葉で返し、そのくりかえしは親子の関係を少しずつ、おだやかで緩いものに変えていっているように思える。回転ずしの店でのリラックスした印象は、その反映と思いたいとのこと。
そして、Aさんが、繰り返し皆に言ったのは、「集い」でのアドバイスがよかった、「ちょっとした言葉」が大事なことを気づかせてくれた、ということだ。それも、「こぢんまりとした集い」だからこそ、(その人に響く形での)言葉が届けられたのだと、「集い」のよさを強調した。

〇 Bさんは、自分自身の風邪が長引いて調子がすぐれなかったことを話し、この間、子どもさんが、自分たち 親 それぞれの体調変化を心配して気遣ってくれたことを語った。
その後、Bさんは、会報(265号)の記事にふれ、そこに書かれている 『アタッチメント・トラウマ』 は、自分のことのようだと、次のように語り出した。
転勤族の親のもとで育ち、転校の繰り返しで友達をつくれなかった。多分そのせいで、「自分を抑えて相手にあわせる」とか「対人関係で緊張する」といったことが習慣になっていた。まさに自分の子ども時代は、『アタッチメント・トラウマ』の経験そのものだったと思う。今はっきりと思い出すのは、「なんでも親の言う通りの私」だったこと。
Bさんは飾りのない話し方で、自分の育ちの経験を淡々と話した。聞いていたグループの一同は胸を打たれ、返す言葉がなく、しばしの沈黙に包まれた。でもそこには、ある温かさが広がっていたし、自然に話し出したBさんの強さも、感じられた。
今、思うのは、新しい自分に向けてひそかな準備をしていて、それがかなりできていたからこそ、あのように自分を語ることができたのではないかということだ。次を待っていますよ、Bさん。

〇 Cさんは、別に暮らしている子どもさんと、久しぶりに近くのショッピングセンターに出かけ、映画と買い物を楽しんだとのこと。比較的平穏な日々を取りもどしているCさんの安堵感を、メンバーみなが感じながら聞いた。しかしCさんは、「心配がいつも傍にあって、安心はできません」と言い、その後、訪問看護の担当者からのメール着信にびっくりしたことを付け加えた。「どんな悪い知らせか」と緊張してメールを開いたら、内容は比較的いいお知らせであったとのこと。それはなにより。皆も、ほっとして、締めくくりは笑顔となった。

〇 Dさんは、筑紫野の「集い」メンバーの連絡用につくっている「筑紫野LINE」に近隣市で実施予定の講演会の案内を投稿していた。その講演会の講師の林恭子さんの話を、直に聞いてみたいとの声も上がった。
一方、子どもさんの状況として、「まだ何も話してくれない」との言葉を、重く受け止めた。

〇 最後に、楠の会「作品展」への応募のすすめと来月の集いは恒例でお休みとの確認。その後、場所を変えて、計画中の食事会候補の店について話した。暑さ真っ盛りのこの時期を、無事乗り切って、9月の集いにつないでいきたい。( F . S )
(注) 8月の筑紫野の集いは、お休みです。

★有明の集い 7月13日(土)13:00~15:00 (ひとびと談話室) 参加者5名 ( 女性3 , 男性 2 )

〇 本人は今は昼頃に起きてくる。少し前までは普通だったが、暑い季節になって涼しくなる夜に活動しているようだ。主にPCを扱っている。その中でも、食事を一緒にしてくれる様になっている。特に話題はないけど、少しずつ一緒の時間も持てるようになってきた。

〇 息子専用の冷蔵庫がある。その冷蔵庫の扱い方で父親と揉めている。そんな事が日常の生活で当たり前になっている。嬉しいことよりつらい気持ちの時の方が多い。等の状況報告を頂く。

〇 息子さんの不登校の時の話題がでる。そのつらい状態でも卒業はした。そして、自分の目的のためそれを乗り越え、今は社会に出て活動している。母親としては、その子の瞬間を受け止める事しかできなかったが、今はそれがとても貴重で大切な体験となっている。と振り返り笑みを浮かべながら話題頂く。

〇 談話の途中にはカフェタイム。今回は、参加者よりオカリナ演奏を頂いた。素敵な調べがとても暖かい時間を提供してくれた。2時間があっという間に過ぎていました。有り難うございました。(G・M )

★久留米の集い 7月26日(金)14:00~16:00(えーるピア久留米) 参加者5名( 女性5 )

〇 最近時々散歩に行き始めましたが、その途中昔の面影が残る場所があり、立ち止まって昔を思い出しました。今ひきこもっている長男が1歳過ぎの頃、泣きじゃくるのを心を鬼にして保母さんに預けていた保育所跡です。長男は生まれて一週間もしないうちにお尻におできができていると言われ、一人入院させられました。母と子別々に離されたのです。そんなことをつらつら考えていると、長男に寂しい思いをずーっとさせ続けてきたなと胸が痛くなります。

〇 今回集いの中でも、家庭環境や夫婦関係が悪かったりするのが子育てに影響しているのではないかとの話が出ました。そこでお互いに夫婦関係が良かったか悪かったか、よかったこと、よくなかったことなどいっぱい話しました。発言したり聞いたりしているうちに、自分の中で自分を見つめたり、対話したりして、何かが少しずつわかってくるような気がしました。(S・A)


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