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楠の会だよりNo.267号(2024年9月)記事より

   秋は一夜に      金子みすゞ
      
秋は一夜にやってくる。

二百十日に風が吹き、
二百二十日に雨が降り、
あけの夜明けにあがったら、
その夜にこっそりやってくる。

船で港へあがるのか、
翅でお空を翔るのか、
地からむくむく湧き出すか、
それは誰にもわからない、
けれども今朝はもう来てる。

どこにいるのか、わからない、
けれど、どこかに、もう来てる。



残暑お見舞い申し上げます。
クーラーをつけっぱなしのこの夏、お盆が過ぎ台風が去って、秋の到来が待たれるこの頃です。
さて、楠の会だより6月号(No.264)から3号続けて、「ひきこもりと家族トラウマ」(服部雄一著)という本を中心に、ひきこもりとアタッチメントについて連載してきました。
このシリーズを熱心に読んでこられた方が、ご自分なりにこれまでに学んできたことを丁寧に復習し、そのまとめを作成されました。
それを皆様にもぜひ見ていただきたいと思い、ここに掲載します。
よろしければ私たちも一度復習のつもりでご覧ください。


私がこれまで学んできた「ひきこもり」のこと

8月号の最後に、ひきこもりの目標は、「本当の自分を取り戻すこと」として4つのことが示されています。
よく考えると、本当の自分には次のような特徴があるとあげられた項目は、ひきこもりに限らず誰もが生きる上で備えているべき事柄だと思いました。
1.感情(生きる力、願望、自発性)がある
2.決断力がある
3.人と関わる能力がある
4.成長する能力がある

〇十分力を持っている息子に気づいた
ここで我が家のことをお話しします。
この春息子だけが新型コロナに感染しましたが、この8月には私ども親が二人とも感染してしまいました。
第5類感染症に移行したので大した症状は出ないだろうと高をくくっていましたが、39度近い熱と喉の痛みは激しく、声を出すことも出来ませんでした。
こんな状況の中息子が大活躍してくれました。いつもは食事時だけ自分の部屋から出てくる、たまにはお願いすると外回りの片づけをやってくれる程度の状態でしたが、それが親のコロナ感染以来、食事の用意と片づけをやり続けてくれました。
先ほどの本にある通り、本当の自分には大きな力を秘めていると実感した次第です。
まだ十分に社会と自由に繋がれるほどには自分を取り戻していないのかも知れませんが、その力の片鱗を見せてくれたのです。
息子たちが自分の力を発揮するにはどうすればいいのでしょうか。今まで多くの先生のお話を聴いてきましたが、それぞれの先生は自分の専門分野からひきこもりを捉えておられるので、表面上の言葉は違うかも知れませんが、言いたいことは実は同じではないかと、そう思い始めました。
そこで、学んできた専門家の先生の言葉を復習してみたいと思います。

中略

〇4人の先生方の主張から私の納得したこと
所でアタッチメントとはどういうことなのか、私なりに整理してみたいと思います。
発達心理学などで、母親と子の間に形成される愛情。多く「愛着」と訳される。とか、「アタッチメント」とは、基本的に子どもが怖くて不安な時、あるいは感情が不安定になった時に、特定な大人の人にくっついて「もう大丈夫だ」と安心感に浸ることを指します。とか言われています。

〔吉村春生先生〕の子どもがそこにいるだけで喜びを感じ安心感を与えてエネルギーを蓄えてもらうと言われることはアタッチメントの関係づくりではないでしょうか。
〔高垣忠一郎先生〕の「自分が自分であって大丈夫」という自己肯定感を育てるために、身近な人間にかけがえのない存在として丸ごと愛され、その苦しみを共感され、ありのまま受け入れられるような共感的人間関係の中で育てると言われていることもアタッチメントの一つの面ではないでしょうか。
〔斉藤環先生〕の先生と生徒が信頼関係を築く、親と当事者が信頼関係を築くということもアタッチメントと言えるのではないでしょうか。
又、〔服部雄一先生〕の言われる、本当の自分とは、「自分が自分であって大丈夫」、「生まれてそこにいるだけで喜びがあふれていた」無条件の肯定で包まれたそんな自分の事ではないでしょうか。
そう考えてくると、私の周りで糸がだんだん撚り合わさって太くなってとても力強い糸になってきた気がします。
ますます太い糸に育てて子どもに見せたい思いが強くなりました。      (会員A男)

ここでは中略としましたが、楠の会だよりでは全文を掲載しています。


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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★福岡東部の集い 8月17日(土)13:30~15:30 (コミセンわじろ) 参加者6 名 (女性4、男性 2 )

〇 お盆過ぎとはいえ暑さの冷めやらぬ中、皆さん元気なお姿にて出席頂きました。冒頭のお約束を読み上げるか否かというやりとりを皮切りに、個人の考え方の微妙な問題から、展開が始まりました。

〇 どの家庭にも親と子、お互いの思い違いは日常茶飯事なのでしょうが、時としてそれが子供にとってトラウマになる事もあります。約束を違えられた事、他の人と比較された事、そして独り置かれた事。
寂しい思いの中、其の悔いや嫉み、妬みがうねりとなって心の片隅に残り、燻っていく。やがて、年を重ね、消え入りそうになってしまった頃に突然噴き出してしまうのです。それが実は当事者の心を長い間、深くとらえていたことだと気づかされるのです。

〇 積年の思いを我が子から痛烈に伝えられた親はどうすればよいのでしょうか。 当時の記憶を辿りながら「そうね、でももう過去のことにこだわらないで」と言いますか。 それとも「そうね、もしそうだったらつらい思いをさせたのね。ごめんね」と言いますか。

〇 これはこの2時間の中で当事者を踏まえた会話のレビューです。支部会が会員を集わせる理由の一端がここにあります。次回はどのようなドラマが待っているのでしょうか。(H.K )

★宗像の集い 8月21日(水)13:30~16:00 (メイトム宗像) 参加者 5名 ( 女性 5)

宗像の集いの担当者がコロナにかかり今日はお休み。恒例のビデオ上映はなし。A男さんのありがたさがわかりますねと、いう話から始まりました。今日の話題は以下のとおりでした。

〇 今年度総会で決まったように、各支部会の活動を少しリフレッシュするために、ひきこもりの最新の支援について講演会をするプランができていること、それをどこの支部でやるか検討中であることの説明。あとはいつものとおり、日頃抱えている心配事や困りごとなどを参加者で共有しながら意見を交わしました。

A  外出しようとしても身支度が整わず、時間が経ってしまうのが悩みの種、でもやっと本人もいいかなと思う医療機関につながった。
B  20年間口もきいた事がなかった娘が自分から医療につながり1年ほどたった。ここまでこれたことを奇跡のように思う。だが、この所デイケアにも行きたがらない。少し転機かなと思う。
C 作業所が続かないので、自分の好きなことをやれるようにと思うが、専門学校に行くことがかなり難しい。
D  親の会にでるようになって娘がいきなり面接に行き、ひきこもっていたと正直に言ったらしい。勿論不採用。
E  今一人暮らしをしているが、すべての支援を断っている。

〇 以上のような話題の中で気になるのは、支援が増えたとはいえ支援側は利用者への対応に創意工夫(イノベーション)が見られないように思われる。本人には共通してコミュニケーションの問題はあるが、能力的には劣っていない。彼らの意欲をそがない仕事を提供できないか。また医療機関に行けば、「どうですか」との決まり文句。これでは支援を継続する気がしなくなるのではないだろうか、という意見で終わりました。(F・Y)

★福岡の集い  8月22日(木)14:00~16:00 (あすみん) 参加者9名 (男性4、女性 5)

〇 男女の出席比率が拮抗する集いとなりました。4人のお父さん方を始め出席者のモチベーションの高さから、引きこもり問題の本質らしきテーマを中心とした話に進んでいったのです。

〇 ひきこもりの原因は親にあるのか。なぜひきこもったかを探らねばならないのか。家での生活は出来るのに外には出られないのはなぜか。これらは質問というより、奈辺の事がなぜ親の頭から離れないのかという問いなのかもしれません。

お父さんたちの発言には私も含め共通点を見つけました。それは因果関係を重視する点です。ひきこもりをある種の疾病と考えるもの。原因は何か、治療方法は、安静期間はどのくらい、経過観察期間を必要とするのか。この考え方が親たちの頭の片隅にあるのではないでしょうか。

〇 このもどかしさの中で、ひきこもりの時代背景や世界的分布にまで話が及びました。今回は、癒しの場と言うより、原点回帰に近かった気がします。これも大切な事だと各出席者が再認識したのではないでしょうか。ただひきこもり問題には特殊性がある事も事実です。 仮に疾病治療をベースに考えるにしても・・・・・・患者である当事者がこの場にいないのです。

〇 8050問題に直面し、親として決断を下す事も選択肢になるのでは、と言う事で終活を行う覚悟を持ったという話も出ました。次回も今日のような熱気ある集まりに期待します。(H.K )


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