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楠の会だよりNo.238号(2022年4月)記事より 

春の野に 霞たなびき うら悲し 
この夕影に うぐひす鳴くも
              (万葉集 大伴家持)

子どもたちを救う手立てとは
 ・親達に求められていること
    ~山根俊惠先生の講演をお聞きして~

今コロナ禍の中で世界中の人々が培ってきた価値観がゆすぶられていると言っても過言ではないでしょう。
人間が森羅万象の世界を支配できると猛進してきたが、人間を超える力の存在を感じつつあるのが今ではないでしょうか。
人々の価値観が大きく揺らいでいるようです。耳新しい言葉が飛び交っています。今こそ本当に世界が変わりつつあるのでしょうか。
<生物多様性(ダイバーシティ)>、地球環境の悪化を懸念して生まれた<持続可能な開発目標(SDGs)>、等。
その問題とひきこもりがどんな関係にあるの、と疑問を持たれた方もあるでしょう。
実はひきこもる人たちは「この世の中は生きられないよ」と、社会参加をしなくなった人達です。彼らこそ時代を読んでいた先駆者かもしれません。
3月18日(金)福岡県精神保健福祉センター主催で、ひきこもり家族研修会がありました。その時の講師、山根俊惠氏(山口大学大学院医学研究科保険学専攻・教授)のお話はこれまでのひきこもり支援に新しい局面を開いていかれる予感を感じました。
それは私たち親の会のマンネリ化へのアドバイスでもあり、親たちの努力がなかなか報われないその要因を指摘されたようにも思われました。
ここで先生の骨子、 「ひきこもり支援を行ってきた私の結論」をご紹介してみますので、今一度親がすべきことを考えてみましょう。

▶ひきこもりは、心のエネルギーが落ちた状態。勝手にエネルギーがたまることはない。「承認」によって自尊感情が高まり、心のエネルギーが高まる。
▶氷のように凍ってしまった心は、温かい心でしか溶けない。
▶ノウハウだけを習得してアプローチをしても変化はない。生きづらさを理解し、基本姿勢(否定しない、適度な距離を保つなど)の積み重ねで心は動き出す。
▶人との関係の中で傷ついた心は、人との関係の中でしか回復しない。
▶「否定」からは何も生まれない。「否定」の連鎖は「孤立」に繋がる。
▶「何もしないで、本人が動き出すまで待つ」は暴力と同じ。それは、無視、無関心、存在の否定。「動ける環境を作り、仕掛けて待つ」ことで心と体が動き出す。
▶親としての基本的な関わりは「土づくり」。どんな土が必要なのか、水の量、肥料のタイミングなど「自身の育て方」を家族心理教育で学ぶことで親は変われる。
▶ひきこもり状態は、必ず回復し、笑顔が取り戻せる。

他に講演の中で目の止まったのが “先回りをしていませんか?” と言う指摘。
先回りとは、「相手より先に物事をしたり、考えたりすること」を言うとして例を挙げられました。思い当たることはありませんか。
▶「うちの子は人が苦手だから宅配便を受け取ることができない」と親が受け取る。
▶「外出することが無理だから」と、子どもが好きなお菓子を買って用意している。
▶コロナワクチンの接種券が送られてきたが「どうせ接種しないだろうから」と、何も言わず引き出しに直した。
▶20歳になり、年金の支払い用紙が届いたが、「支払い能力がないから」と、勝手に親の口座から引き落としの手続きをした。
▶親とは口を利かないが、最近外へ出るようになったので、新しい靴を買って玄関に置いておいた。
▶支援者から「子どもさんに当事者会に参加してみないかと誘ってみてください」と言われ、すかさず「うちの子は、そういうところは苦手なので行かないと思います」と返事をする。

親の会はどんな役に立つのだろうか
私たちの親の会でも子どもの自発的な動きを待っているとして、子どもの動きが止まっているケースはよくあります。
先生が言われる通り、頭で理解しているつもりだが、親が心底変化しているかどうか自分では気が付かないものです。
そのことを知る場が実は親の会ではないかと思っています。
他の親たちは自分の鏡になってくれます。本を読んだり、画面を見たりもそれなりに役に立つ場合もないとは言えませんが、親の会こそ人に指摘されずに自分で自分を見つめる場です。
そして自ら努力すると言う意味で、真の自律性を養う場になるかもしれません。
親の会を敬遠している方は、どこかで経験したことがある辛さ、親が責められるのではないか、身を切る辛さを味わうのではないかとの恐れを持っておられるではないでしょうか。
自助グループの決まりとして参加者への批判非難はしないことを厳守しています。
親が落ち着いて自分自身を見つめ、客観性や自律心を持つことが子どもを救う糸口になるのではないかと思います。
親の会では山根先生のような指導者はいませんが、現実に様々な経験を踏んで、ある程度の方向性を持っている当事者たち、その親たちがいます。
その方々のお話を記事にしたり、親の会に参加していただいたりしています。
どうぞ親の会を年に一度でもご利用下さるよう心から願っております。
     (会報編集委員Y)

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< 福岡「楠の会」 総会  >
   5月1日 (日曜日)13:30~ 
    於 福岡市ボランティアセンターあすみん
新型コロナウイルス感染症はまだまだ予断を許しませんが、総会会場での再会を期待したいと思います。

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<投稿> 
< 紆余曲折を経て今ここに >


私の息子はひきこもり始めて15年になりました。
20代の一番楽しいことだらけで笑ったり、泣いたり、怒ったりできたであろう青春時代を6畳一間に閉じこもり、コンビニにも自動販売機にさえも行くことはできませんでした。
100メートル先にある千円床屋にも行けず、今まで自分の髪は自分でカットしてきました。
彼が25,6歳のころ新聞で見つけた支援団体に主人が言ってみようと言い、2人で通い始めました。
1週間に一回1時間かけて通い、2人でその代表者の方の正論を聞く日々でした。
2年目に入り自宅に来られ息子の部屋のドアの前で、とくとくと正論を言ってあるだけでした。
息子のバリケードが始まり、私たちは支援を断り、一時何もかも諦め、自暴自棄になってしまいました。 当の本人息子の気持ちも考えずに。
それから2~3年経った頃、「8050問題」をきっかけで楠の会に出会いました。
私は本当に救われました。いろいろな情報をいただき、当事者の生の声を聞かせてもらい、息子の気持ちがわかってくるようになりました。
昨年もう一か所アドバイスを受けた支援事業所で背中を押され、息子を車に乗せて主人の実家へ行きはじめました。
口うるさかった主人の両親を施設に入れたため、家の片付け等を手伝ってくれました。
そして自分から野菜の種を買い、苗を育て野菜つくりを始めました。

今月の「楠の会」は私にとって3か月ぶりの定例会でした。
そこに初めてのお父さん会員さんが参加しておられました。
その方の息子さんも我が家の息子とよく似て、こだわりが強くなかなか物が捨てられず、自分でできる限り修理して使うような息子さんでした。
不幸は事故にあい、紆余曲折して現在に至っているとか。
しかし今息子さん本人がお父さんに昔のあの一言が自分に取って大きなショックだったと話されるまでになっていることは素晴らしいなと羨ましく思いました。
そしてお父さんが言われました。
「私は息子が今まで生きてきてよかったと思うことが一つでもできるように、今からの余生、真剣に生きていこうと思います」と。
そうですね、そうなんです。
息子たちが必死で生きてくれています。
事故に遭ってもバリケードしてでも生き抜いてくれています。
それに応えなければと思いました。
お父さん会員さん、時々でも良いので福岡の定例会にまた参加してください。
勇気が出ます。ありがとうございました。(会員O)

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★福岡の集い  3月22日(火) (あすみん) 参加者 6名 (男性1, 女性5)

福岡の中心地天神にある「あすみん」は交通の便はいいのですが、人が密集しているので今は使いにくい場所です。
それでも集いにおいで下さる方があり、頭が下がる思いです。
皆さん深刻な思いの中でも、我がことでありながら外から眺める視点を身につけられておられて、お聞きしやすい語り方をなさっておられました。
特に今回お父様のご出席があった事、そしてそのお話が大変正直で(失礼)、こんなに純粋に周りとご自分とを見る目を学んでこられたことに敬服いたしました。
残念ながらお母さん方よりお父様が動かれるほうが効果は大きいと言う気がしますよと言う意見も。
周りのお母さん方も今日は参加してよかったと思われたようです。(Y)

★ 久留米の集い  3月25日(金)えーるピア久留米 参加者8名 ( 女性6 男性2 )

久しぶりの久留米の会は5部咲きの桜の木の下で開かれました。
初参加のお父さんから、もうすぐ50歳になる息子さんのことを、まさに8050問題は自分のことだと、切実な問題として話が出されました。
他のメンバーからはそれに共感する言葉や、今までの経験と学習した知識から参考になるお話が次々と出されました。
あるお母さんのお話。耳が敏感な息子さんから、外を通る人に静かにするように言って欲しいと頼まれたので、当たり障りのないようにお願いして対処したら、それから何も言わなくなったと言うこと。
毎週ランチに家族と行くようになったり、おばあさんの買い物のとき連れて行ってくれるようにもなったと言うことでした。
B型作業所のTさんはひきこもりの子の脳は傷がついている状態なのだから、何も言わないほうがストレスを与えないことになり、そうしておけばだんだんとよくなっていくと言われました。
毎回、親がやれそうで実際やっていないこと、知っていそうで気が付いていないことを気づかせてくれるいいお話をしていただきます。
会の皆さんに感謝しながらやさしい気持ちで家路につきました。(S)




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