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楠の会だよりNo.256号(2023年10月)記事より草いろいろ おのおの花の 手柄かな(松尾芭蕉) ★親の集いはどんな意味があり、 効果が期待できるのか 福岡でのひきこもりの家族の会を始めた頃、ともかく家族に集まっていただくことが当面の課題でしたから、ひきこもりについての講演会を毎月1回やっていました。 人を集めるためには講師を探すことが毎回大きな課題でした。そんなやり方を2,3年間続けていましたが、ある時精神科医M先生が、みんなが前を向いて講義を聞くことはあまり役に立たないと忠告を受けました。 同じような悩みを持つ人が集って語りあうミーティングをやりなさいと。 確かに講演を聞いて帰るとその時はわかったようで満足して帰るのですが、帰ってしばらくすると我が家は何も変わりがないことに気が付きます。 やはりミーティングが必要かなということで、M先生や臨床心理士の臨席でミーティングを始めましたが、知らない人たちの前で自分の心の内を語るのは億劫でした。 特にお父さん方が大変嫌がっておられるのがよくわかりました。 しばらくこれはやめていましたが、アディクション(依存症)の専門である四戸智昭先生のご指導で、講義とミーティングを取り入れた形で再度ミーティングを始めたところ、やっとのこと主に女性たちが集まってきました。やはり男性は苦手のようでした。 その後一か所での居場所活動を止め、ミーティングを各地域でやっていくことにしました。 そのやり方も専門家を入れずに自分たちでやることになり、あまり堅い形式でないお茶会のようなやり方を取って、今に至っています。 ただやはり男性の参加は今でも一人二人と寂しい限りです。また一度きりの参加も多く、リピートが少ない状況です。 そんな方々はおそらくミーティングが何かをご存知ないのではないかと思い、ここで改めてミーティングをなぜやるのか、についてご説明してみたいと思います。 ミーティングは依存症(アルコール・薬物・ギャンブル‥‥)など社会生活に支障をきたし、自分を変える必要が出てきた人が取り組む療法です。 自分を変えるのはまず、「汝自身を知れ」とソクラテスの言葉にあるように、自分を正しく知る力を養うことです。 それができるのは数人のグループで互いを観察していると、だんだん自分に注意を向けてくる、そして自分がどんな人間であるか考えてみるようになる。 それを繰り返すうちに自分の中に、「人を見て自分を知る」仕組みが構築されると言うのが、今世紀ミーティングを主体にした自助グループが誕生した所以だと言われます。 ただ、「本当はみんな自分自身からは目を背けたい」と、養老猛司氏は著書〖子どもが心配〗の中で言います。 だけれども、自分を知るには人との関係の中で自分を知るしかない、その方法としてミーティングが有効だということなのです。 ひきこもり問題にカタをつけるためには、私たちはこれまでの考え方、行動を変える必要があることは皆様もよく聞く言葉ではないでしょうか。 ★まだミーティングに参加したことがない方へ 自助グループとかミーティングの意味をご理解いただけましたでしょうか。 ただこの場は個人の内面を扱う繊細な場になりますので、周りの方への十分な配慮が必要です。 勿論、リラックスした明るい話題も自然に出てきている様子は、各地の支部会の報告をお読みいただければ、おわかり頂けると思います。 会を利用して実際にひきこもり問題から抜けることができた方が、まだ会員を続けて会に参加されていますので、会に参加すればそのお話も当然聞くことができます。ともかくも大事なことは、人(子ども・夫・妻)を変えようとすることに意味がないこということをしっかり基本に据えておきたいものです。 ★ 「ひきこもりが終わるまで~ある母の記~」を同封しました ところで思いがけないことがありました。 実はあるお母さまからご自身の奮闘の記録を会に進呈していただきました。 みんなが同じような過程を通ることはないものですが、この記録から何かを感じていただけるのではないかと思います。 そのお母様がどのように考え、行動して変化を遂げたのか、丁寧にお読みいただければ幸いです。 (会報編集係 吉村) (web編集者注)申し訳ありませんが、上記手記は当ホームページ上には記載しておりません。 ========================= <投稿> 熱烈訪問・閑話休題 H・T 今月は熱烈訪問の掲載を一休みします。 次回来月号は、実際に地域に生活している私たちの窓口として、市町村福祉課、社会福祉協議会など、身近な窓口を掲載予定です。 今度は役所窓口と担当者個人の思いとを混ぜてお知らせしたいと考えています。少しだけ期待してください。(熱烈訪問スタッフより) 熱烈訪問の取材先を求めて、支援窓口に電話をかけて担当窓口のお話を聞いているといろいろな状況が見えてきます。 詳しい事は差し障りもありますので書けませんが、一番気になるのは私共の意向が中々伝わらない事です。 勿論中には意気投合して何度もお話した方もいらっしゃいますが、まだまだと言ったところでしょうか。 そんな時、ふと思い出す逸話があります。私が小学校高学年の頃、担任の先生が「外国に行って言葉が通じないときどうすればよいか」の話をしてくれたのです。 先ず子供がたくさん遊んでいる処にいって地面に訳の分からない絵をかいてみる。 すると子供たちが集まってきて、口々に「何?」と叫ぶ。その言葉を覚えて今度はいろいろなものを指し示して「何?」と聞いて回る。 ものには必ず名前があります。その名前を共有することで話が通じ心を通わせるのです。 実際には「ヘマタ」と言う言葉を使って金田一京介(探偵ではありません)という言語学者・民俗学者はアイヌ語を会得し、アイヌの人たちに溶け込んでいきました。 心が通じ合うということでもう一つ忘れられない映画があります。 これも古い話で「奇跡の人」と言うヘレンケラーとアン・サリバンの物語です。 三重苦という重い障害を背負った幼い少女とその家庭教師にまだ20才を少し越したばかりのやはり目の不自由な女性が雇われ、二人の壮絶なドラマが展開されていくのですが、この中にも言葉の葛藤が描かれ、そして有名な水飲み場でのシーンでヘレンは自分の周りには素晴らしい世界があり、その一つ一つに名前があることを学ぶのですが、同時にそれを教えてくれたサリバン先生の慈愛に満ちた心を知るのです。 私はこの映画を思い出すたびに年甲斐もなく独りで嗚咽してしまいます。 人が人と心を通わせるためには相手を深く理解し、明確な意思表示をする事。などと言うことはありません。 勇気をもって言葉を交わす事、其の為には素直な子供に「何?」と言わせ、水飲み場でさ迷っている子供に水を掬わせる事です。 抽象的な言い回しですが、お互いが一緒に触れられるものを見つける事でしょうか。 私は我が子に対しても、親の会の親御さんたちにも、「熱烈訪問」の報告をする為にも一緒に触れられるものを探して言葉を交わすのだろうと思います。 ========================= 今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。 なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。 こちらの方もご利用ください。 投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿 ========================== 福岡「楠の会」支部会だより数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。★有明の集い 9月 9日(土)13:00~15:00(ひとびと) 参加者7名(男性2、女性 5)みやま・大牟田エリアでの楠の会・支部会は、「有明の集い」として、みやま市で開催。前回は台風の影響にて開催中止としました。今回は皆さん時間を整えられて、初参加者も含めて、7名の参加者のもと開催の運びとなりました。〇 娘が若い時に父親が亡くなった。娘は、私に心配をかけまいと一生懸命に頑張って学校を卒業していることに気が付きました。卒業後仕事に就こうとしたが社会参加が出来なかった。今はPCを媒体としての時間が唯一娘と社会との繋がり。昼夜逆転の生活が心配だ。 〇 幼少の頃は大人しく親が心配するような子ではなかった。しかし、親の仲は良くなかった。そんな姿は辛かっただろうと今は思う。また、周りの親族からは、この親族の家系には引きこもるような者はいなかった。などの批判を受けることもあった。とても辛い。 〇 自分が病気になって家事が出来なくなった。そのことで、息子が動いてくれた。少しずつ会話もできるようになった。今まで気づかなかった優しさや、存在が、とても有難いと思えるようになった。 〇 相変わらず、息子と父親との間に挟まれて、何もできない苦しさから逃げ出したい。 等々、様々な背景を背負っておられる方々の声を共有。その中改めて、少しずつ本人さんとの対面、そして対応が出来るように、共に歩いていきたいと、参加者の皆さんとの共有を図れた今回の集いでした。 サロン(集い) では、お代わりホットコーヒー。冷たいジュース、昔風のお菓子、ショートケーキなどを頂きながら、涙あり、笑いも有り、大切な有難い時間空間を共有できました。( M. G ) ★筑紫野の集い 9月13日(水)13 : 30~15 : 30 (カミーリヤ) 参加者11名 (女性7、男性4 )〇 体調を崩していた方が久しぶりに来られました。色々学んでこられた方で、いつも参考になる助言等があるので、調子が良いときは来ていただきたいなと思いました。〇 筑紫野市の「暮らしの困りごと相談窓口」からお見えになり、市が昨年度から行っている就労準備支援事業(業務はグリーンコープに委託)の案内があり、リーフレットを持ってこられました。「利用していただきたい。」ということでした。質問もさせていただきました。集いの様子を見学したいと、お忙しい中最後まで参加されました。ありがとうございました。 〇 皆さんの様子は少しずつでも良い変化を感じました。親からの電話に当事者がでた、パソコンの勉強を始めた、表情が明るくなってきた等です。ひきこもり経験者の方は運動を始められたようです。( K. M ) ★久留米の集い 9 月 22日(金)13:30~16:00 ( え~るピア久留米) 参加者6名 (女性5 , 男性 1)今日は人数が少ないので、一人一人の話をゆっくり聞くことができました。〇 子どもが小さい時、慣れない東京暮らし、それもそれまで住んだことがない5階建ての集合住宅、その上階の人から子どもの足音がうるさいと苦情を持ち込まれ、ノイローゼ状態だった。親、特に母親の精神状態が悪いと、子どもには大きな影響を与える、と言うことをのちに知った。おそらく我が家はその影響を受けたかもしれないと思うと。 〇 いつも2階にいる息子と話が全くできないお父さんでしたが、近頃近所に火事があり、「火事だぞ」と2階に声をかけて外へ出たら、息子は窓を全部閉めて外へ出て来たとか。思わず「ありがとう」と言われたと言うこと、よかったですね。 〇 相談にいくと「親は楽しみなさい」と言われ、あちこち行くけれど心から楽しめないと言われる。私も一緒です。小さい子だったら、ついてくるでしょうけれど。 〇 子どもの頃勉強しなさいと言う必要もなかった、と言う方に我が家もそうでしたと言う人が一人ではない。そのために子どもとの会話が少なかったかもしれないと。また、 子どもが親に気づかいしているから午後は外へ出るようにしていると言われるお母さん、私もそうです。子どもを一人にするためにも午後は外へ出ています。 〇 以前にも来られたお母さん、誰もが病院に入れるしかないと言われたのに、荒れる娘さんをじっくり相手にしてこられ、今はお母さんと一緒に外出を楽しみにされるようになっていらっしゃるとか。本当にいい意味での母ならではの力だと思いました。(M) ↑楠の会ホームページトップへ |