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楠の会だよりNo.287号(2026年5月)記事より

濃き陰を 落として新緑 ならびたり
                  (高浜虚子)



【シンポジウム】
 “ひきこもり”と親の会の今後を考える

緑の風薫る明るい陽ざしのゴールデンウイーク中の5月2日(土)、会始まって以来初めて書面総会という形で新年度の幕開けをしました。会場「あすみん」にはこれまで会に何らかのご支援をお願いしてきた6人の支援関係者をお迎えして、ひきこもり親の会が今後時代の流れの中で存続していくにはどのようなことが求められているか、どのようなことをやっていくか、こちらが準備した質問にお答えいただく形で、会場とも質疑を交わすシンポジウムを開催しました。
シンポジストの皆さんをご紹介いたします。就労支援相談員Hさん、八起塾主宰者Tさん、臨床心理士Tさん、臨床心理士Nさん、B型事業所Tさん、HANASOU事務局Mさんです。このシンポジウムは日頃お付き合いがある支援者の皆さんですから、ストレートなご意見を聞けましたし、リラックスした雰囲気で、もっと多くの皆さんに臨場していただきたかったと少し残念でした。以下6人の方々が3つの質問事項にお答え頂いた興味深いお話を、かなり割愛しながら要約して記します。

設問1.家族会は必要だろうか?

HANASOU・Mさん
私たちは3年前から不登校ひきこもりの家族を対象に、ある家族が自宅を開放して、お茶会を兼ねて家族会を開催している。その際参加した講演会等のまとめを作成し、知識を持ってもらうようにしている。しかしなかなか参加者が少ない。問題があることを表に出したくないのか広がっていかない。困っている家族はかなりあるはずだが、どこかにつながっているようには見えない。親の会の存在をいろいろな手段を講じて広げていくべきだと思っている。

B型事業所Tさん
息子がひきこもりを起こした時つらくて息子を殺して死のうかと思った。その時に楠の会に至った。楠の会は命をつないでくれた。看護師をやっていたが、ひきこもりの子をどうしたらいいか、県の窓口などあることも知らなかった。会に来て以来心が救われ、自分と向き合っていくうちに、精神科の訪問看護事業を立ち上げ、その後B型事業所に拡大した。大きな借金をしたが、息子を救いたい一心だった。同時に同じように苦しむ人たちの助けになりたいという思いを強くした。
今60、70代で両親を亡くして一人になった人、仕事をしていた人が定年になってひきこもっている人にも対応している。いい医療機関、営利ではなく福祉事業としてまじめにやっている事業所とつながりを持ち、今ではいろいろな事情を持つ人たちへの対応がわかってきたので、楠の会でもお話しさせていただいている。ともかく行政の支援があることなど情報を伝えていくことに力を入れている。

臨床心理士Tさん
親の会の必要性は言わずもがな、要は続けていくことが大切だと思う。私が楠の会と関わったのは弟の存在だった。私は福岡の病院で勤務したが、広島にいる弟に後ろめたさが常にあり、親の面倒を見てくれているのはありがたかったが、盆正月に帰郷するのが苦痛だった。私がこの会に関わるようになって弟が変わった。電話や手紙のやり取りができ、雑談もできるようになった。
不登校からひきこもりの流れもあるがよくわからない。この間公的支援につながる人はたいへん少ないように思う。一度受診しても続けて繋がっていかない、或いは公的資源につながる人が少ない。20年30年してやって来られる方もある。
ネットワークをどう広げるかが課題だと思う。年代でそれぞれ希望が違うのだが、違いがあってもどこかに繋がる会は必要だと思う。

臨床心理士Nさん
家族会の必要性はある。専門家の講演やプログラムなどの発表があるが、リアルな現場の声を共有することが大事なことだと思う。うまくいったこと、行かなかったことなどを共有する。特に私はその他に支援者の支援の必要性を思っている。当事者のゴール、家族のゴールと思いはそれぞれ、違いが乖離している。その違いがあることを心得ておく。うまくいったこと、いかなかったことなど共有していき、継続されるといいと思う。

八起塾Tさん
10年前楠の会に足を踏み入れた最初の時、傷のなめあいではないかと思った。今もある一面でそう思っている。安心感を得てそればかりを求めてそのままずっと続いている場合があるから。もう一段上げられたらいいと思う。親の傷が治ったら、子どもの傷を治すことも考えなければならないと思う。本人を動かそうとしたら皆黙りこんでしまうようだ。楠の会では次の段階を考えていって欲しい。

就労支援相談員Hさん
悩みを抱えている家族は大勢いるはずだが、こうした家族会などに出てくるのは大変壁が高いようで参加者は少ないと実感する。ひきこもり家族同士では心が響きあう。それは支援者とではできないことが多い。同じ悩みを抱える家族が思いを共有しあうことで明るい表情になれる。当事者同士のこのようなつながりは力になる。また、支援者も専門家の話を聞くより、直接親、当事者の話を聞くことが本などよりも学びが大きいと思う。

以下、次のような項目で報告は続きますが、このホームページでは項目のみの掲載に省略させていただきます。内容をお知りになりたい時は楠の会だより287号をご参照ください。
なお、参加者の声を「楠の会だより投稿」ページに記載しました。

〇設問Ⅱ 家族会の会員の高齢化に伴って出てくる問題 その場合どういう対応(支援)があるだろうか

〇設問Ⅲ 楠の会への意見など

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★宗像の集い  4月15日 (水)13: 30~16: 00(メイトム宗像 ) 参加者8名 (女性7 、男性1)

1. 信州ひきこもりビューローのHPより 山根先生のメッセージを視聴(視聴時間10分)
信州ひきこもりビューローとは、長野県精神保健福祉センターが運営するウェブ上の情報コーナーの名称です。ひきこもりに関する色々な情報を発信して、ひきこもり支援センターの情報発信基地の役目を持っているのだと思います。
ひきこもりに関するメーッセージコーナーもあり、ここに山口県のNPO法人ふらっとコミュティ山根俊惠先生がメッセージを寄せられています。
2.みんなの声

〇Aさん:ひきこもりに初めて向かい合う親は、ひきこもりから脱出させるために一般論(私達が普通はこうだと思うこと)を押し付け、子どもを変えようとしますが、そうではなく、子どもの辛さを分かろうと努力しなければいけないと山根先生は言われました。辛さを言葉で伝えてくれればよいと思いますが、困っていることを話せないで困っているいる人がひきこもりの子どもだと言われます。子どもの言動には意味があるので、その言動から何に苦しんでいるのかを理解しようとする態度が大切だとも言われました。

〇Bさん: 娘(次女)はB型作業所に通う準備で3箇所に見学、体験を実施しているところです。4月いっぱいで終了します。3箇所それぞれ作業の内容、賃金、昼食有り、送迎有りと、いろんな条件が異なります。私は、助言はしますが、最終的には娘が決める事です。
最近、私が倒れて(大した事はなかったのですが)娘(次女)もびっくりしたようです。普段は長女とも話はしない、ラインもしないのに今回ばかりはラインをして私の事を心配していたようです。この件を通して長女に連絡できたのは、よかったかなあと思います。

〇Cさん:息子はB型作業所を辞めようと思っています。毎日規則正しい生活を送り作業所に通うことの意味を見つけられなかったようです。今は自動車の大型免許やフォークリフトの免許を取って関係する仕事を探したいと考えています。私は息子が前に進むことを応援しています。

〇Dさん:Cさんの応援があると子どもさんも心強いですね。
うちの子どもが私のポスティング作業を手伝ってくれるようになってからもうすぐ2年になりますが、単純な作業のはずなのに飽きないで続けてくれています。私の膝や腰の痛みで階段の上り下りがきついことを助けてくれて感謝しています。また、子どもは家にいてパソコンの前にずっと座っているより随分体を動かして、本人の体の為にも良いのではとも考えています。単純な作業で面白くないとは思いますが、早く楽にできる方法も色々考えて提案してくれます。作業に積極的に取り組むことで、単純作業を少し意味あるものに変えているのかも知れません。いつまで続くか分かりませんが、子どもへの感謝の気持ちを忘れないでいようと思っています。
        (参加者全員で発言持ち寄りのまとめ)

★福岡の集い 4月18日 (土) 14:00~16:00(あすみん) 参加者6名 (男性3、女性3 )

〇ひきこもりの初期は十分に心身の休養が必要ですが、それを何時までも続けているといつの間にか時間が過ぎて、当事者も年齢が高くなっていたと言うことになります。このケースは意外に多く、そのようになった要因がいつまでも初期の対応を続けていたところにあるケースが目立ちます。加えて当事者と親との関係がかなり良くなり、以前のような苦しさが無くなって親も安堵し、これ以上波立たせることはしないでおきたいという気持ちになります。それが落とし穴になり、気がついたら長期化高年齢化に入っていたことになりかねません。

〇今回は傾聴と言うより、参加者の方の現在の困りごとをよくお聞きしてどういう対応がいいかを共に考えてみたいと思いました。そのために古い女性会員Hさんをお呼びしました。Hさんの息子さんは決して易しいと言えるケースではなかったのですが着々と息子さんを社会に繋げて行かれたこれまでの対応は、長引いているケースには参考になるお話を聞ける方だと思いました。

〇Hさんの対応の核心部分は、いろいろな専門家の言い分をうのみにしないで、目前にいる息子さんの状態と性格をよく見ていくこと、それでいて先回りをせず必ず彼の気持ちを確かめ、ただ傾聴だけではなく意見を言う場合には言い方を工夫して彼が耳を傾けられるような言い方をしたこと、ということです。
時には職場でいじめにあったこともあるが、自ら考え方を改め、辛抱強く工夫しながらここまで職業を続けて来られたことなどを話していただきました。大事なことは、当事者の動きを待つのではなく、本人が動けるまで親が情報収集し、目を離さず、脇でしっかり支えて行かれたことではないかと思います。またそこには親を信頼する子の姿があります。親の確固とした信念が陰にあると思われました。

〇もう一つのケースは子どもが親を責める場合、親もへとへとになるのですが、それは子どもが現状を変えたい、その手助けをしてほしいという訴えではないかと解釈し、親の気持ちのぶれなさと現にある支援者につながるよう、やってみようと話しました。
               (F/Y)



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