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楠の会だよりNo.285号(2026年3月)記事より草の戸も 住み替わる世ぞ 雛の家松尾芭蕉 富田伸先生講演会 (富田醫院院長) 「長引くひきこもり問題 何をどうしたら?」について 立春を過ぎてまだ肌寒い2月11日(水)、久しぶりに講師をお迎えして講演会を行いました。世の中の様子がつかみにくくなっている今、ひきこもり対応のノウハウなどではなく、もっと深いところから考えてはどうかと思い、以前からよく存じ上げている富田伸先生に講師をお願いしました。この日準備された資料のトップには 結語 「ひきこもり」という出来事は一つの自己治療なのです (神田橋條治) という言葉が大きくでています。ここに先生のお考えが集約されていると思います。お話は先生の生い立ちから始まりました。昭和時代というのは戦後の激動の時代だったので、同時代を生きてきた私などはその頃を思い出して、思わず聞きいってしまいました。以下資料に沿った項目を私の勝手な思い入れなどを加えながら書き留めてみました。当日講演をお聞きになった方はご自身の感想と比較しながらお読みください。 〇ひきこもりの社会的背景 ひきこもりはなぜ長引くかという課題に先生が指摘されたのは以下のような社会的背景でした。 ・昭和31年 最初の団地 ・49年セブンイレブン1号店オープン ・60年代共働きの増加 ・平成7年 Windouws95の発売 ・平成10年頃単身赴任の増加 ・平成13年 地域が「不審ベース」になる ・野焼き・たき火の禁止 ・平成14年 公園の遊具撤去 ・平成20年スマホの普及(iPhone日本上陸) その中で「安全」「便利」「快適」を追求する価値観の追及の結果失われたものが、 ・伝統文化・食生活・家族親族機能・地域とのつながり 以上のような社会情勢を生きてきた私たちですが、このような流れが人の考え方、活動に何らかの変化をもたらしたのは確かです。そして問題が減少するどころか、不登校からだけでなく就労していた人たちが突然仕事を辞めていくケースが増え、むしろじんわりと広がっているのが現状です。 以下、次のような項目で報告は続きますが、このホームページでは項目のみの掲載に省略させていただきます。内容をお知りになりたい時は楠の会だより284号をご参照ください。 〇時間はどう流れているのか? 〇親類縁者のご縁を使って 〇追善供養・祖霊信仰 〇精神医療を利用するメリット 最後に報告は次のように締め括られています。 〇 どうすればよかったか? 最後に、広汎性発達障害(56歳男性・37歳男性)・統合失調症(52歳男性)・うつ病(44歳男性)の治療についてお話がありました。4人とも15年間または30年程のひきこもりだったが、親の死後通院が始まった人もあり、その支援に当たっているのが県精神保健福祉センターのスタッフの皆さんだそうです。その支援がとても丁寧で根気強く、また当事者の心理をよく理解して医療につなげられたと言うことでした。 紹介された人達は就労や社会参加には至っていないが、支援にはつながり、こうして生きて行こうとしていることでいいのだと言うのが先生の結論です。 先ほどご紹介した映画「どうすればよかったか?」は弟がカメラを親と当事者(姉)に向けて作成したものですが、「どうすればよかったか」というこの問いに、先生は「これでよかったのだと思います」と言われました。紆余曲折の様々な人生模様はそれぞれ意味があるという深いお考えが伺われるように思われました。そして最後に、 他者を変えようとするのではなく、ご自身のカルマを生きて行かれますことを、そして、良いご先祖様になっていただきますことを心よりお祈りいたします。 と結ばれています。 現代に生きる私たちは人の死と身近に接する機会が少なくなりました。しかし死を思うことは人生を真剣に考える大きな機会です。誰もが死ぬことを忘れずに、だからこそ一生懸命に生きようというのがここに込められたメッセージではないかと思いました。 最後に、会員の皆様に何か元気づけになり、ご家庭の中にいい空気の流れができることを願ってこの企画をしました。お役に立てれば幸いです。次の投稿も併せてお読みください。 (記 吉村) ========================= <投稿 富田伸先生の講演会をお聞きして(会員K・M)> 先生のお話をお聞きして、「時間はどう流れているか?」というお話が印象に残っています。 普通、私達は時間は過去から現在を通って未来に流れていると思っていますが、未来から現在を通って過去に行くという考え方をお聞きしました。 過去→現在→未来 未来→現在→過去 それを針が動く今の時計(時間が過ぎ去っていく感じ)と文字盤が動く江戸時代の和時計(時間がやって来る感じ)で紹介され、チャンスが未来からやってくるからそれをキャッチしてくださいというお話でした。先生の場合は、開院しませんかと建築関係の方が来られて、それをキャッチして、開院に至った経緯を言われました。また講演会等を頼まれたらキャッチして断らないようにされているということです。 未来を想像して現実をつくる、例えば今夜はカレーにしよう(未来)、それで今これとこれの材料を買いに行っている(現在)。今の自分の問題が解決したらどうしているか(未来)をイメージして過ごす(現在)のが大事だそうです。未来への想いが現在の行動をつくるという事のようです。 関連して予祝(よしゅく)とい言葉が古くから日本にはある事も話されました。後で調べてみると、「まだ叶っていない願いや目標を、すでに叶ったように先に祝う事」で、古くから日本でおこなわれてきた農耕儀礼に由来するものだそうです。お花見も桜を秋の農作物に例えて、豊作を前もって祝う事のようです。「○○が叶ってありがとうございます」とあらかじめ祝うことで、未来の姿を現実に引き寄せるということだそうです。 私達親も子ども達の未来に希望と目標を持ち「それが叶いました、ありがとうございます」と思うことが長引くひきこもり問題を解決に導く事になるのでしょうか。 また、先生の患者さんのひとりで、父親の会社が倒産した後、当人が支援機関とつながった例を紹介されました。「困った経験でトラウマを受けた後も成長しますよ、辛い経験は必ずしもマイナスな事ではない」と話されたことも印象に残りました。自分の子どももそうあってほしいと思いました。 ========================= 今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。 なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。 こちらの方もご利用ください。 投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿 ========================== 福岡「楠の会」支部会だより数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。★福岡の集い 2月11 日(水・祝) 14: 00~16: 00 (あすみん) 参加者18名 (男性6 、女性12 )今回は、「富田伸先生の講演会」を実施。印象に残ったことをアンケートでいただきましたが、以下はその中の感想です。( Y・F )・「ひきこもりという出来事は一つの自己治癒なのです」という結語をかみしめました。 ・就労に至らなくても生きて生き続けられればいいと思うことが出来ました。 ・トラウマやPTSDを緩和できる漢方薬があると言うのはいい情報でした。 ・「子どもは親をよく観察している。親は旅行をしたり、楽しむ姿を見せたほうがいい」というお言葉に共感しました。 ・「親子がよく話し合う必要はない。ドライブなど面と向かって話さない場面のほうがいい」というお話はよかったです。 ・「社会的情勢の変化がひきこもりを作ってきた、未来から現実を見る、先祖供養、先祖を思う気持ちは大事、「予祝」の大切さ。ひきこもりは悪いことではない。ひきこもりながらも生きていければいい」 こんなことが記憶に残り、勉強になりました。 ・医学より祖霊信仰等精神や信仰の世界は、意外だったが、説得力がある話であることが分かった。 ・畑仕事、料理、猫を飼うなどアナログの世界が今とても重要だと言うことに納得した。 ・神社のお参り、ご先祖様のお参りを改めて心を込めてお参りすることは、生きていくために人として大事だと気づくことが出来ました。 ・親が勇気をもって行動することで、思わぬところから人や社会が支援してくれるし、子どもにも良い影響があることを納得しました。 ★宗像の集い 2月 18日 (水)13: 30~16: 00(メイトム宗像 ) 参加者 6名 (女性 5 、男性 1 )1 NNNドキュメント「夫の僕が記録した強迫性障害の妻」(視聴時間30分)--- 2026年1月18日(日)放送強迫性障害の妻を持つ夫が、初めての診察の日から家庭内の出来事をスマホで記録しました。不快な考えが頭から離れない「強迫観念」を打ち消すために、何度も同じ行動を繰り返します。原因不明の病気で100人に1~2名の割合で発症します。この妻の場合は汚れに対する不安が強く、鳥の糞が体に着いているのではと不安に思い、何度も手を洗います。また、自分が汚れていないことを夫にも確認を求めます。医師からは薬物療法と認知行動療法の二つの治療を勧められました。 不安の程度が比較的低い行動を我慢することから始めました。治療3日目、手を繰り返し洗うことを我慢することに挑戦します。1月後、汚れが気になり出来なかった床の掃除や窓の網戸掃除が出来るようになりました。人に依っては長い年月を要することもありますが、治らない病気ではないと言われています。6カ月で人を我が家に招くことが出来、8カ月で不安はあるものの職場に復帰できました。 世の中に広く強迫性障害のことを知ってもらう為に映像記録をテレビで放映することにしたそうです。なお夫は地方テレビ局のディレクターです。 2 みんなの声 ○ Aさん: ビデオは本当の日常を記録したもので、本人も大変だが家族を巻き込んで辛い日々を過ごしている強迫性障害の実態を知ることが出来ました。 ○ Bさん: ビデオを見て、「身内の人を記録し公に発信する」前向きな力強さを感じました。 我が家のことになりますが、ひきこもりの我が子、何があっても味方でいよう、辛い気持ちに寄り添おう…で過ごしてきたけれど。今、とてもしんどくなって、味方どころか嫌いになって…共倒れするんじゃなかろかと。抱え込まずどうにかならんもんかなあと、初めて会に参加させていただきました。溜まっていたものを吐き出して少しラクになりました。 ○ Cさん:娘が私の誕生日に手作りの晩御飯、プレゼントを用意してくれました。ケーキは一人で、バスに、乗って買ってきてくれました。この年になると、誕生日も、うーんって思うんですが、このような誕生日であれば、いつでも歓迎です(笑) また、メールでこのようなメッセージも送ってくれました。「誕生日おめでとうございます。いつも見守ってくれてありがとうございます。いつまでも元気で過ごして下さい。」 何よりも、この言葉が一番嬉しかったてす。 ○ Dさん:Cさんのお子さんは高校の頃から20年ほどひきこもり、親とも話さず・部屋からも出ず、3年ほど前に、一言「病院に連れて行って」と言われたのだったですね。直接の話は出来ないものの、こころの中に感謝の気持ちを持っておられたのですね。 来月は関連するテーマとして「緘黙症・かんもくしょう」のビデオを探してきます。 (参加者全員で発言持ち寄りのまとめ) ↑楠の会ホームページトップへ |