■楠の会だより投稿文の紹介■

4月の投稿文紹介は、3月投稿文をそのまま残しています。

<【ひきこもり・8050問題講演会】 >
< 「今」と「親亡き後」に備えて を聞いて親父の決意 >
 

会が始まると共に、講師の方は出席者に問いかけられました。
「皆さんは8050をどうとらえていらっしゃいますか」。その後は優しくも真剣な口調で話されます。
「8050はあいまいで尚且つ視点が多方向を向いている。80(老いた親)が50(引きこもっている当事者)の未来を不安視している。50(当事者)が80(介護をもしくは看護を必要としている親)との現実に直面している。このほかにもたくさんのケースが考えられる。
親の問題、子の問題。現在の問題、未来の問題。何が優先事項なのかを明確に」 この問いかけをきっかけに、私は報告者から、80(老いてゆく親)に近づく一人の父親になっていました。
先ずは自らの立ち位置を明確にしてこの問題に当たらなければならない。自らの高齢化は家族の行く末に対し、明らかに選択肢が狭くなっている。記憶力、行動力、忍耐力、経済力そして親亡きあとの家族を想像する力。これに、我が子(当事者)の現状や未来を全部一緒に混ぜてしまうと、問題はますます大きくなり、何をどうしてよいのかわからなくなる。優先事項は何かを落ち着いて考える。
講師の話は二部構成で 一部は概説、二部は具体編と分かれていて自らの思いを先取りして話を進めている。80(老いた親)の視点を主にすると50(当事者)はこの問題を親ほど深刻には捉えていない。危機感が薄い。しかし親亡きあと、強制的に自立させられる現実が待っている。この近未来に訪れる準備が「8050対策」と端的に語ってくれた。
親が冷静に「親の問題」「子の問題」を切り分け、「心の問題」と「お金の問題」を区別する。無論家族の状況や年齢により差異は出てくるのだが。この為日常的に地域、支援とのつながりを深めていかなければならない。そして、核となる支援者(個人、団体)を見つけなければならない。
講演を聞いているうちに、何やら頭の中が整理されてきて、心の中がすっきりしてきたように思いました。 二部の具体編ではまず遺言書の話。最初はそこまではまだと思いながら聞いていましたが、なんと切実な問題を抱えていました。親亡きあと、財産の多寡にかかわらず、相続という問題は必ず起きます。当事者外の兄弟姉妹や相続親族との間でもめ事やいさかいなどが勃発すると、当事者には新たに深刻な悩みや孤立感を生むことになります。仮に当事者のみの相続であったにせよ 手続き上の問題や管理方法で混乱する場合もあります。
自らの死後は誰にもわかりませんが、考えられる問題は対処出来るうちに行っておく。選択能力、行動力が残されているうちにやっておくべき課題と認識させられました。
二部後半のファイナンシャルプランナー氏の話も内容の奥深さを感じました。
特に親子してライフプランを検討する件では、具体的プランニング方法の説明と同時に、行なう意図が暗に当事者に現状把握を求め、将来の構図を展望させることで、来るべき時(親が無くなる)が現実に訪れる事を示唆することをも視野に入れている点が私の頭を打ちました。
今の状況に甘んじ、親の試練などと自己満足している時間などないのだ。まだまだやる事は残っている。一人の父親がそう思わされた長くて短い150分でした。(H・T)