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楠の会だよりNo.261号(2024年3月)記事より

菫(すみれ)ほどな 小さき人に 生まれたし
                  (夏目 漱石)


<福岡「楠の会」主催講演会で印象に残ったこと~ >

「ひきこもりの心と向き合う回復への道」
     講師 山口大学大学院教授 山根 俊惠先生


講演会で印象に残ったこと~の記事から一部を抜粋して掲載します

令和6年2月23日(金)、前日からの雨もやみ、曇りがちの繁華街天神は、祝日とあってか若い人が街にあふれていました。会場「あすみん」(福岡市ボランテイア交流センター)の研修室3室の壁を取り払った広い室内に、定員80人近い参加者が席に着きました。
関係者のこの問題への関心の深さ、講師の先生への期待感は主催者の私たちの予想を超えていました。準備した資料は40ページと多く、講師の意気込みを感じましたし、始まってみると先生のお声の力強さは会場をしんとさせる気迫がありました。
ここに当日の講演の要録をまとめるのは難しいので、筆者の印象に残ったほんの一部を、資料を基にご紹介することにします。もしもっと詳しいことを知りたい方は、先生の著書やユーチューブの紹介をいたしますので、それをぜひご覧になってください。
山根俊惠先生が大学の先生であることから想像しがちな学者タイプの方と違うのは、その実践力です。宇部市、山陽小野田市、山口市と3市の支援を受けて、現在3か所のひきこもり支援のための居場所を運営。どれも新幹線駅近くなど交通も便利で、部屋がいくつもある広々とした施設です。 そこで家族教室や当事者の社会との接点である居場所活動、そしてひきこもりの特性でもある外へ出られない人たちのための訪問看護ステーションを数か所運営。
ひきこもりに必要欠くべからざる施設をしっかり備えての活動であることがわかります。

☆ 皆様にお聞きします!
Q・ひきこもっている人のことをどう思っていますか。
「本人の問題」「困った人」「なぜ就労しないのか」「怠けているだけ」
Q・子どもがこうなったのは親に問題があると思っていませんか。
「甘やかすから」「相談しない」「抱え込んでいる」
Q・本人が動くまで待つことが一番大事と思っていませんか。
「何を言っても無駄。本人が困ったら働くだろう。それまで待つしかない」
Q・何とかして病院(精神科)につなげるべきだと思っていませんか。
「精神科に繋げば何とかなる」「入院させるべき」
Q・働かせることがゴールだと思っていませんか。
「何とかして働かせないと親が可哀そう」「親亡き後、困ることになる」
Q・ひきこもりは、直らないのではないかとあきらめていませんか。
資料の最初にドンと突きつけられたのがこの質問。以下様々な項目が並べられています。今回の先生の話はこの質問項目に沿って一つ一つどう考えていくのがいいかを、多くの事例を挙げながら説明を加えていかれたように思われます。上記の質問に私たちも今一度自分はどうかな、と答えを出してみませんか。

☆家族関係性の改善
これこそが親が一番得たい情報かも知れません。それを担っているのが、先生の地元で開催されている「家族心理教育」ではないでしょうか。
「子どもを社会に繋げようとするより前に、まず親と子どものつながりを取り戻し、家族関係を回復する」これが山根先生のキーポイントだと思われます。
家族心理教育では以下のような事柄を学ぶ場として紹介されています。
親にどんなことが必要か考えられますね。
・自分自身を客観視する時間
・普遍的な体験
・多様性の理解
・心の調和
・自身の心の手当て
・共有体験による家族同士の親密感
・見捨てられない信頼できる人の存在
・心のエネルギーを充電する

☆否定の連鎖は孤立につながる
講義の最後にこのようなテーマが出されています。
孤立こそひきこもりの元凶、それは避けなければならない。
孤立がどのような形で生じてくるか(孤立の構図)。
それは意外に身に覚えのある言葉や行動であることに気づかされます。
社会が否定する言動 
 ・相談しない親が問題 
 ・甘やかしているから 
 ・このままではいけない、なんとかして働かせるべき 
 ・ひきこもりの偏見 
 ・暴力的な介入
親が否定する言動
 ・働きさえしてくれれば 
 ・親はいつまでも元気ではない
 ・どうしてあなたは‥‥と一般論
 ・説教や説得
 ・声をかけない(無関心)
本人の否定的言動 
 ・誰からも理解されない苦しみ 
 ・怒りのコントロール不全
 ・思考を止め心を閉ざす 
 ・姿を見せない 
 ・気配を消す、生活音がしない 
 ・自己否定が止まらない
 ・自尊感情の低下

☆ひきこもり支援にさらに必要なこと
ではこの孤立を防ぐ手立ては何かと言えば、それには広く社会全体がひきこもりを理解し、支援する体制が整わなければならない。
ひきこもり支援にはたくさんの人が関わる必要があります。
その人たちを増やすことも一方で急がなければならない。
山口大学医学部社会連携講座「SDS支援システム開発講座」はその実践者の教育プログラムの開発事業を推進し、人材育成を目指して活動中です。
今後の日本の若い世代が生き生きと生きていけるように、日本の社会が幸福度の高い国に生まれ変わるように、私たちも陰ながら応援していきたいと思います。(記 会報編集 吉村)

※家族心理教育の内容については先生の著書〖親も子も楽になる ひきこもり・心の距離を縮めるコミニュケーショの方法(山根俊惠著 中央法規出版 2200円)〗に詳しく書かれています。
※山根先生のユーチューブ動画を見るには 「YAB 山根俊惠教授」とか「ひきこもり 山根俊惠教授」で検索すると、何十本も動画が見つかります。

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★福岡東部の集い 2月18日(日)13 : 30~16 : 00 (コミセンわじろ)   参加者9名(女性7、男性 2 )

〇 切り出しは進行役のSさんの「会のお約束」が一つのルーティーンに定着したようでしたが、Sさんの「お約束」はルールの説明と言うよりは、出席者全員が何の為に集い、そしてどのような時を過ごすのかを あらかじめ教えて下さったようでした。
私たちはともすれば、いつもの調子で気楽にミーティングに参加しているときも多いのですが、それは集まった皆さんの思いやりによって支えられているという事なのです。思いのまま言葉を発し、そして他の話に耳を傾ける。何気ない時間の中に安らぎを、元気をもらっている事を改めて気づかされた思いでした。初めて出席された女性もいらっしゃったので素晴らしいスタートになりました。

〇 今日は大きなテーマが幾つかありました。お子さんが聴覚過敏に悩まされ、睡眠にも支障をきたしているとの事。本人の悩みは、他の人にはたとえ親であってもその苦しみを同様に理解できるものではありません。明け方に郵便受けに投げ込まれる新聞の「ストン」と言う音、「それくらい」が繊細な娘の心を揺さぶって苦痛に満ちた1日が始まる事を知りました。彼女の苦しみとそれを解消するためのひたむきな努力を、参加した親たち全員が知りました。

〇 当事者への思いやりから信仰を進めるご親戚の話が出ました。そこから宗教談議が始まりました。本来この場での宗教話はたしなめられていますが、それは意図した勧誘目的の事で、元来宗教や信仰心は誰でも心の中に秘めているもので、崇高なものなのです。お一人がこう言われたことで、意義深い会話となりました。(H.K)



★宗像の集い 2月21日(水)13 : 30~16 : 00 (メイトム宗像) 参加者 7名 ( 女性6 , 男性 1 )

Ⅰ.精神科医 大野裕のファストレッスン vol.23 & 24 ( 約8分 + 9分 ) 動画視聴
Vol.23 【こころを元気にするコミュニケーション「会話の力を信じよう」】
Vil.24 【聴き上手のコツ「寄り添うことが大切」】
ビデオの内容は、例えば、人に相談するのは相手に迷惑だと思うことがありますが、人の為に何かをしてあげることに喜びを感じるのが人間です。だから、喜んで頂けるのだという気持ちで相談すると良いでしょう。相談を受ける側は、あなたの考えも有りだと思うけど私はこう考えます、という程度に自分の考えを押し付けないようにしましょう。 ・・・のような内容でした。
「大野裕、ファストレッスン」で検索すれば動画がたくさん出てきます。

2. みんなで話し合い
A:20年間部屋に入ることを許さず、話を交わすこともできなかった娘でしたが、1年前から病院と作業療法に行けるようになりました。先月から、作業療法は一人で行くといって、バスと電車を乗り継いでいきました。大丈夫かなと心配でしたが、無事に帰ってきました。病院へはついてきてねと言っています。
また、先月は見たい映画があるというので、一緒に行きました。訪問看護の人には、映画のことを楽しそうに話したそうです。よかったと思います。
B;就職支援窓口に行きましたが、体力的にもたないといって、2回で止めました。やはり外出は随分疲れるようです。
C;障がい者手帳をもらうことを考えていますが、手帳をもらうとこの人は家族信託が出来なくなるのではないかと考えています。ご存知の方はおられませんか。
D:家族信託の件は、8050問題の専門家(OSDの専門家等)の講演会を開催して頂けると良いのですが。 ( A 男 )





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