■楠の会だより投稿文の紹介■

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<山根俊恵先生講演会をお聞きして>

先生の口調は明快だった。
理論家でありながら、数多くの実践に裏付けられた確信が、言葉に断定を多く取り入れ、現状の社会支援のふがいなさ、親子の錯綜をフォロー出来ない支援者への怒りを説話に込める。
だがステージの終わりは尻切れトンボに近い状態に見えた。
それは何か。少し考えて最後にこんなことではないかと思った。
先生は80人近い人間に問いかけているのだ、と。
40ページのレジュメと2時間のトークの合間に幾度となく問いかけているのだ。
私の話を聞いてどうするの?
「いいお話でした」「為になりました」「感動しました」、それでどうするの?
先生は講演中も実践家なのだ。
私たち一人一人に「私の話を聞いてどうするの。何を始めるの。何を変えていくの」。先生は私たちを叱っている。
親も、支援者も、行政者も。為政者も、そしてメディアまでも。話を聞いても自らの居住まいを正さぬ輩を叱っている。
ひきこもりが社会問題としてとりあげられて20年の年月が流れた。
この間私たちは一体何を変えてきたのだろうか。
今講演会の中で山根俊恵先生にお返しする感謝は、取りも直さず自己の変革と実践であると確信した次第である。(H・T)