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投稿  支援関係者研修会 聴講メモ                 

福岡県精神保健福祉センターひきこもり支援関係者研修会
ひきこもる若者たちの心と症状を理解する~精神医療の活用の仕方~
講師 富田伸 先生(医療法人富田醫院院長)


7月5日(14:00~)県精神保健福祉センターにて上記の研修会に出席しました。
私の理解の範囲でその簡単なメモ書きをご紹介します。
一部筆者の理解のために追記の部分もあります。先生の意図から外れている部分があればご容赦ください。  

私は、ひきこもりは精神科医が係わる問題ではないと考えている。
20年ほど前、ドキュメンタリー映画「ホームレス」の中でひきこもり当事者が「ひきこもりは医療的問題ではない」と言っているのを聞いて、ひきこもりはそういうものなのかと理解した。
精神科医が係われるとすれば、ひきこもりに発達障害や心的外傷(トラウマ)が係わっている場合である。  

結論めいたこと先に言ってしまうが、神田橋條治先生(精神科医)は「ひきこもる」という出来事はひとつの自己治療なのです、と言われた。
精神医療的な面から支援するとすれば、発達障害やトラウマが原因でひきこもった人を対象に、自己治療の手助けをすることになる。
今日は発達障害とトラウマについて話をする。

〇支援者へ
支援者としての心構えで大事なのは、支援する対象に自分自身も含めなければならないことだ。
そうしないと支援者自身が疲弊してしまうことがあるからだ。
また、あなたはひきこもり、私は支援者と考えるのではなく、私もその可能性があるのだという認識が必要だ。

〇発達障害
発達障害様の若者は、近年急増している。「脳の構造的な問題」なら社会の変化があっても急増することは無いと考えていた。
しかし、アメリカでは20年前急増した。
いま日本で急増している。診断基準が変わったことが一因という人もいる。  
発達障害の最も重いものは「自閉症」になるが、私は障害と言わずに、「発達の凸凹」、「発達のアンバランス」と呼びたい。
それは誰でも大なり小なりアンバランスを持っているからだ。
男と女の間にも、国語が得意な人とスポーツ人の間にも発達のアンバランスがある。
私たち誰もがアンバランスなところを持っているという自覚が必要だ。

〇発達障害の要因  
遺伝的な要因もあると思う。子どもが発達障害なら、子どもほどでは無いかもしれないが親もその傾向があるかもと考えながら両親と対応した方がトラブルが少なくなると思われる。
 環境的要因もある。鶯の声は生で聞くと非常に複雑な要素を含みビット数は非常に大きい。
しかしCDで聞くと非常に限られたビット数になってしまう。
田舎では曲線が多く複雑な要素の中で、人々は生活している。
都会では直線が多く単純な要素の中で生活している。
このような都会で育つこどもの発達は、ある程度限定されたものになってしまう。
一番影響があると思われるのが化学物質汚染だ。
農薬、電波などの微小なものの積み重ねが影響している。
PCBは製造も使用も禁止されているが、過去に使用されたものが完全に回収されずに残っていて少しずつ流れ出ている。
海にも環境にも入ってきているのではないか。何がどのように作用するかはわからないが影響は大きいと思う。

〇発達障害の特性
私たちの聴覚、視覚、味覚、臭覚、触覚(五感)については非常に敏感な人もいれば、鈍感な人もいる。聴覚についていえば、私たちは聞きたい人の声だけを聴くようなフィルターを持っているが、フィルター無しですべての声が一度に入ってきてしまう状態の人もいる。
発達障害の人に多い聴覚過敏の人は、すべての音が混ざり合って大きく聞こえるので混乱に陥る。
離れた場所の電車のドアーの開閉まで聞こえる人もいる。それぞれの感覚の敏感さを活かすことを考えたらよい。聴覚は音楽家、味覚は料理人、視覚は絵や映像作家などである。

五感の他に前庭覚、固有受容覚という「二覚」がある。
前庭覚とは体の傾きやスピード、回転を感じる感覚だ。くるくる回り続ける子がいるが前庭覚を刺激してバランスを取っている。
固有受容覚は自分の体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚だ。
私たちは目をつぶっていてもマイクの位置が分かるが、この感覚が弱いとマイクを持つ手の位置が分からない、背中側の感覚が分からないなどの状態となる。  

発達障害の人は聴覚情報処理よりも視覚情報処理が優位な人が多く、コミュニケーションは音声言語よりも文字言語を使った方が良い。文字は人類が文明発達する上で大きな役割を持ち、特に時間経過の後でも確認できるので伝達に優れている。
しかし、文字は感情を表しにくい。感情の伝達は文字で行わない方が良い。コミュニケーションは受け手がどう取るかで決まるからだ。
送り手がこういうことを伝えたいと思っても、受け手の取り方でコミュニケーションは決まってしまう。
コミュニケーションは受け手優位ということの自覚が大事だ。  
発達の凹凸を持つ人は、曖昧な情報の処理が苦手だ。
伝える情報は「具体的に」「シンプルに」を心がけよう。机の「上」に置いてください、では伝わらない。机の上の「右か左か」、「前か後か」、具体的な位置を示すようにしたい。  

発達のアンバランスがある人は、協調運動が苦手で、不器用なことがある。
自転車や自動車の運転が出来ない、などで就労支援のネックになることもある。  
彼らは物事への執着、「こだわり」がある。
何にこだわっているのかを知り、これを大事にする。
「変化を好まない」のであれば、これ活かす・利用することを配慮していく。  
対人関係・集団活動が苦手な人たちは、挨拶に慣れる・練習する。
コンビニの店員が表面的に明るく対応するように、こころは通わさないでも明るくふるまうことに慣れるよう練習したい。  
発達障害の人も成長する。苦手なものは大目に見てもらい、得意なものを伸ばしてゆく。
国語が得意なら国語を伸ばし、不得意な算数はやらないなど。
黒柳徹子はしゃべるのが得意、記憶が良いので、しゃべることで世界を飛び回っている。
さかなクンは好きな魚を徹底的に勉強し大学の先生になっている。

〇心的外傷(トラウマ)  
例えば、ひどく殴られたことがトラウマの原因ではない。
殴られてこころに傷を負うかもしれないが、その後の、孤立や無援状態が継続することがトラウマの原因であり核心だ。
ベトナム帰還兵のトラウマの原因仮説は、帰国後のアメリカ国内の反戦運動の高まりで、帰還兵がみんなから受け入れられないことだと言われている。
 映画「ランボー」でもそれが描かれていた。
ベトナムから帰還したランボー達に浴びせられた反戦デモの罵声、戦場では高価な武器を使いこなしていた歴戦の勇士は、帰ってみると駐車場の警備員の仕事すらない。
戦場の悪夢を思い出させる出来事に出会うとフラッシュバックが起こる。  
フラッシュバック。突然暴れだすなど、急に生じる興奮などは過去のトラウマのフラッシュバックである可能性が高いことを頭の隅に置いておく。
フラッシュバックは脳が疲労すると起こりやすくなる。
心的外傷後ストレス障害はエネルギー低下の状態にあるので、自分のエネルギーを貯めることが回復の第一歩である。支援は、「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えること」でなければならない。
魚だけを与えられるのでは、いつまでたっても支援を受ける側から抜け出せない。

〇精神医療を受けるメリット  
診断を受ける意味は「ああ、なるほど」体験だ。
今まで納得出来なかったことが診断とその説明によって、そうだったのかと腑に落ちるのであればメリットになる。
社会的免罪符(『働かない権利と治療を受ける義務』)を受けることができる。  
また医療を受けることで薬物療法を受けることができる。
しかし、抗不安薬は依存性がある。この効き具合の強いものが睡眠薬である。
抗うつ薬、向精神薬、気分調節薬に依存性はない。
しかし、いずれも医師の処方に従い適切に服用しなければならない。  
精神障害者保健福祉手帳があると、障害者就労や就労移行支援事業所などを利用できる。
グループホームやホームヘルプサービスを利用することができる。
各種料金の割引や減免を受けることができる。
これらのサービスが必要になったときのために、今は使わないけれども手帳を持っているという人も多い。  
障害年金:統合失調症・うつ病・双極性障害・知的障害・発達障害などの診断を受けると、初診日から1年6カ月を経過した日、または20歳に達した日以降年金がでる。市町村の年金課または年金事務所へ申請する。
 精神医療を勧めるとき:本人が納得していなければ精神医療は効かないだけでなく有害となる。決して無理強いはしないこと。
家族だけでの相談・受診の場合でも、本人にオープンにしておいた方が望ましい。 (文責 A男)
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投稿  福岡わかもの就労支援プロジェクトより                 

2015年4月東京から故郷福岡に戻り当プロジェクトを立ち上げ、3年が経ちました。
現在11名(8月末)が在籍し、就労・就学への道を一歩ずつ進んでいます。 (鳥巣正治)


先日、福岡市南区民児協・自立支援部会研修会に講師として呼ばれ、受講生2人を連れて参加しました。
卒業間近の2人は出席者100人の前で立派な発表をしてくれました。
発表内容は当プロジェクトのホームページ「若者の声(進の声、次郎の声)」に掲載しています。二人は共通して「支援者につないでくれた親に感謝」と「今、自分は前を向いて歩いている」ということを、言っています。  
現在、福岡本部、糸島支部、朝倉支部、宗像提携団体でコーチ6名が活動しています。
これに加え、今年中に久留米支部、鳥栖支部を立ち上げる予定です。
息子さん・娘さんの就労支援はもちろん、親御さんの不安や心配な事に関しても、何かお手伝いできることがあれば、声をかけてください。                     
 連絡先(Tel):080-5456-6060