■楠の会だより投稿文の紹介■

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よい塩梅

 

蒸し暑いある昼下がりのことです。
仕事の合間にふと塩気が欲しくなり、思い出した亡き祖母の梅干しの味。
あの絶妙な塩加減は、まさに  ‘よい塩梅’  でした。
塩梅とは、料理の味加減以外に「物事の具合/程合い」の意味があります。
私はある病院の精神科デイケアに勤めています。
10代から70代と幅広く、不登校や引きこもり、発達障害…と様々な個性が集い、刺激的ながらも居心地よい、時に家族のような学校のような「一つのコミュニティ」のような場です。
しかしコロナにより、昨年度より常に継続の危機と背中合わせの状態が続いています。
感染予防と交流の場所の維持。相反するものを抱えながらやっていくことは、まさに塩梅そのものかもしれません。
オンラインで行う自助グループや研修会も着実に増えてきています。
画面上で場所と時間を共有でき利便性も高いですが、家族会へ行く途中の車窓からみる景色、実家の両親のこと、引きこもっている弟のことをぼんやりと思い出すあの時間。
それがとてもかけがえのない大切な時間だったことに、改めて気付かされるこの頃です。
コロナと共にある生活。「そう簡単にこの味は出せないものよ」と語っていた祖母の言葉のように、いずれかに偏らない丁度よいバランス(塩梅)は、社会情勢の変化と自分の経験と…色々なものが混ぜ合わさり試行錯誤の連続。
やはり簡単には掴めないもののようです。 
        (福岡きょうだいの会メンバー T)