■楠の会だより投稿文の紹介■

<投稿 息子の場合 ~愛猫の死を契機に~>

現在父親、私78歳、息子45歳と、あと1~2年で8050問題の当事者です。息子は20年前東京の大学を中退して地元の大学に編入学し、無事卒業しましたが、就職活動を全くしなくて、親として随分心配し仕事に就くように説得しました。しかし全く受けつけなくて私も何が何だかわからなくて、保健所等を訪ねて見て、息子の状態が「ひきこもり」ということを理解しました。
だけどこんなことは間もなく解決するだろうと思いながら、いつの間にか20年近くたってしまいました。本当に月日の経つのは早いものですね。途中いろいろそれらしいところを訪ねてまわりましたが、本人を急がせることはよくない、親が変わらなければならないと言うことを聞いて、結局当たらず触らず状態で過ごしました。その間本人がその気になることを期待しましたが、今日まで変わりませんでした。
今回私は改めて「楠の会」に入会しました。ところが最近彼にとっては大きな出来事があり、思いがけないことをしていました。それをお話ししたいと思います。
今から18年前家内が家の向かいの大きな駐車場の片隅で、大きな声で鳴いている捨て猫を拾ってきて、まだ目も見えない状態でしたが、家族で面倒を見ているうちに、すくすくと育って家の内外を走り回るようになりました。
猫の名前はモモといいますが、今年春18歳で亡くなりました。家族の一員だったモモを特に息子はかわいがり、その成長過程を拾ってきた頃から今まで写真に撮っていたようでした。それをまとめて「お別れアルバム」としてこの春、冊子にまとめたようです。
それを見せられた私は、猫の表情、それに添えられた飼い主の気持ちがこもったコメントなどを見て、感心しました。息子はいろいろ問題ありだけれど、見方によってはこれから先、何とかなるのではないかと思い直した次第です。(K・S)