■楠の会だより投稿文の紹介■

< 投稿Ⅱ >
< 20年間の沈黙からやっと・‥‥ >
 

私の娘は今36才です。
高校1年の5月から不登校になり、ひきこもって20年になります。不登校が始まったころ、無理やり学校に行かせていました。今でこそ、ひきこもりと言う言葉はよく聞きますし、その人数も何十万人とか。不登校になれば無理して学校に行かなくても良い時代です。
しかし当時は不登校やひきこもりも聞きなれない言葉でした。6月には退学する事になりました。最初の頃はいろいろ娘にできる事を考えましたが、なかなか上手くいかなくて、いつの間にかずるずると20年も過ぎてしまいました。
そのうち娘はだんだん親とは口をきこうとしなくなり、扉の向こうで毎日無言で生活していました。生きていることだけは確認できましたが、私も打つ手がなくてご飯は何とか食べていましたので、そのまま生活を続けていました。
3年ほど前ですが、甥が楠の会をみつけてくれて勧められ、楠の会に入会しました。

毎月1回親の集まりに参加するようになり、そのうちいろんな人とのつながりができました。
いろいろ事情は違いますが、毎回他の親御さん方のお話しをお聞きするうちに、自分の家の事情も話すようになり、それに対して意見を言ってもらえるようになりました。
支援者の方も参加されていて、その方にも相談したり、そのご縁で医療機関にも相談に行ったりしました。
しかしなかなか娘に変化はありませんでした。

楠の会に入会して早や2年3か月が経ちました。ところが、とうとう私にも奇跡が起きました。
娘が夏に脱水症状を起こし体調を崩した事がきっかけで、何回か会話する事ができました。
そして11月、娘が「病院に連れて行って」と言ってくれました。勇気を出してくれた娘に感謝の気持ちでいっぱいです。
後日娘から聞いたのですが、高校1年の時にいじめにあっていたそうです。
私は初めて聞いて驚きました。
「何も知らなくてごめんね。つらかったね」としか言えませんでした。
自分がいじめられてつらいのに、友達に迷惑をかけた事を20年間引きずっていたようです。
私が早く気づいていれば、こんな事にはならなかったかもしれないと後悔しています。
娘には1番楽しい時期を過ごさせてやれなくて、ただただ申し訳ない気持ちです。

でも今は前を向いていかないといけないと思っています。
今では訪問看護にも来てもらい、通院もしてくれて、薬も飲んでくれています。
こんな幸せな事はありません。
何度か心が折れそうな時もありましたが、今までの苦労が報われました。少しは肩の荷が降りました。
娘に関わってくれた皆さんに感謝でいっぱいです。
これから先もいろいろ大変ですが、焦らず娘のペースに合わせて頑張って行こうと思います。
そして娘との20年間を少しずつ取り戻せればいいなあと今は考えています。
最後に私の経験から、今困難な状況にある方があきらめない気持ちと子供さんに対する家族の小さな行動の積み重ねで必ず気持ちが通じる日が来ると信じて、もう少し頑張ってみられてはいかがでしょうか。(T・E)