■楠の会だより投稿文の紹介■


トップページで紹介出来なかったものをここで紹介します。

谷口仁史先生講演会、「不登校・ひきこもり・ニート等 困難を抱える子ども・若者の自立支援」~アウチリーチ「支援を届ける」という発想から~を聴講しての、いま一つの思い  会員 H                 
谷口先生は佐賀県、いや全国のひきこもり関係者にとってはレジェンド、まさに希望の星とも言える存在である。
テレビ番組で初めて谷口先生を拝見したのは、夜中に、ひきこもりの子どもがいる家庭へ訪問をする場面であったが、番組が進むにつれて、ひきこもり当事者が馴染んでいき、一緒に遊び始めるようになっていきました。
一体どうしたら、そんなことになるのだろうと仰天したものです。
もちろん、初めから遊び相手にはならないだろうと思います。
何度も何度も家へ通い、ドア越しに声をかけ、共有できる価値観のチャンネルを探し当てた結果であろうと思います。
番組から溢れ出る谷口先生の弛まざる熱情に感動したものです。
根性論で説得するなど論外で、当人に実際に逢って傾聴し、対面してのみ、伝えられる思い、「怖がることはありません、あなたのことを心配して来ました。
安心してください、あなたの味方ですよ。」と、心で語りかけ寄り添い続ける人だと確信しました。
ひきこもっている人に、「支援機関等に出て来て頂ければ、お話を聞かせていただきますよ。待っていますよ。」の対応方法では、心を病み不安と恐怖で外に出られなくなっている人を救済できるわけがないと思います。

テレビ番組中の、当事者と一緒に夜釣りに行き、その人がイキイキと喜んでいる場面は、とても印象深いものでありました。
「夜釣り」ということが、どれほどの意味深長なものなのか、ご理解頂ければと思います。
昼夜逆転にも結び付く意味合いのある事柄ではないでしょうか。
不安、孤独、苦悩などを、現場に一緒に居ることで少しでも解消し、何故そうなっているのか、どうしたいのか、等々を、少しでもその端緒を掴みとるには、現場に出向いて、ネガティブな言動の背景にある真意を察しながら、当人に寄り添わなくては、本当の気持ちを理解できるものではないと思います。
机上の理論ばかり詰め込んでも、現場では通用しない。
実体験から得た知識を持たない人が、当事者に共感できるわけがなく、体感知識を持たない人が当事者家族の相談を受けたり、後継支援者を教育している現状には、戸惑うばかりである。
谷口先生は、この不合理な局面を打破し、訪問型支援の先駆けを行った人であります。
現在は、訪問型支援を中心に、家庭教師のように、社会的に自立するまで継続的に関与する併走型支援を行っているとのことです。佐賀県及び佐賀市は、社会福祉の先進自治体であり、訪問型ひきこもり支援に関して最も理解のある行政機関であったことも、ベストマッチングして、大変幸いであったと言えるでしょう。
また、今日、カウンセリングによる本人支援だけでは対処できない深刻なケースも見出されており、学校、職場、家庭等、本人が所属する環境問題に直接アプローチする専門的手段も必要となってきているので、個別対応制に加え、経験と実績を有する複数分野の専門職によるチーム対応制も併せて包括的支援として行っているとのことです。
貧困家庭や親による虐待、親自身が精神疾患を持つなど、生育環境に問題がある場合も、訪問支援により数多く見出されているそうで、これには専門組織による支援ネットワークを構成し、連携協力して、支援を行っているとのことです。
24時間、当事者等からのSОSに対応し、命の危険があれば、何時であれ何処へでも飛んで行く。谷口先生自身の献身的活動があったればこそ、他の支援機関等も進んで連携協力して頂いているのだと思います。
その典型的なものが、当事者の自尊心・自己有用感を高める自立支援のための、社会的貢献活動を中心とした就労体験活動であろうと思います。
まったく、佐賀市へ移住したいものですが、ひきこもりの子どもを入れ込んだまま家を動かすわけにもいかないでしょうね。

今では、先生を支える優秀なスタッフも揃い、いわゆる谷口学校で実地訓練を重視した実戦的教育を受けた研修生の方々は、その精神を各地で普及させることに努められているとのこと。
そのおかげで、福岡県においては、社会福祉法人がネットワークをつくり、「生活困窮、社会的孤立,心身の障がいや不安、社会的排除や摩擦」などの様々な生活問題や地域課題が複合化し、既存の制度では一括して対応できない人々への支援を、平成29年度から「ふくおかライフレスキュー事業」として、取り組みを始めました。
この事業は、サポーター等が自ら家庭訪問し、状況の把握を積極的に行うアウトリーチ活動により、奥深くに隠ぺいされた課題を見出し、参加法人が連携して解決につなげるとともに、関係機関や団体と協働し、伴走型の支援を生活が安定するまで行うものです。
まさに、制度の狭間で苦しんでいる人を救済しようとするものであり、8050問題対処の端緒となるものではないでしょうか。しかしながら、当該事業においても、サポーターや民生委員等の地域の人々との繋がりがなければ、支援を受けることが出来ません。
地域で暮らす親御さんは、親自身と子どものために、プライドを捨て、「普通」いう概念に囚われることなく、高齢者の親御さんの陰に、ひきこもりの子どもさんがいることを地域の人々に見出して頂き、地域という家族の一員として認知してもらわねば。
待っていても誰も助けてくれません。
一歩、前進しなければ!