お知らせ
         
        

        

        

        

        

        

楠の会だよりNo.187号(2018年1月)記事より

平成30年の新年を寿ぎ、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。   

ご覧になった方もあると思いますが、年末30日の朝日新聞の記事には驚かされました。
一面トップにひきこもり「80-50問題」が取り上げられていました。
それも2面にわたっていました。

この問題は親の会の重要なテーマであり、かつ親の生存年月の残りが少ないために急を要する問題でもあります。
ただし、ひきこもり問題の全部ではありませんが。
朝日の記事はおそらくこれで終わりではなく、次の回は様々な試行錯誤の対策について情報収集されるのではないかと思います。
ぜひそれをやって欲しいものです。

福岡「楠の会」でも2月16日(金)一般社団法人「OSD(やが んだら うしよう)よりそいネットワーク」の理事長池田佳世さん(臨床心理士・前KHJ理事長)をお招きして、親子の高年齢化に備えて「親が生きているうちにすること」をテーマにお話をしていただきます。

親自身が今後の生き方を考える機会になり、それと共に家族みんなの今後を共に考えるいい機会になるかもしれません。
ぜひご参加ください。

  
  ==============================================

<九州大学病院教育支援プログラムモニター募集>

<「家族向けひきこもり教育支援プログラム開発研究」1日プログラムモニター募集>

九州大学病院が開発する、引きこもり者に社会復帰を促す対処法を実践的に学ぶ講習会および効果検証プログラムに参加する家族を募集します。
参加には研究登録が必要。その他要件あり。
詳細は問い合わせを。
 【日時】 来年2月18日(日)午前10時~午後4時
 【場所】 九州大学病院(東区馬出3-1-1)
 【問い合わせ】 福岡市精神保健福祉センター
         電話 092-737-8825 FAX 092-737-8827
 【対象】 市内に住み、引きこもり者と同居する
      親や保護者など
 【定員】 25人
 【料金】 無料
 【申し込み】 メール( hiki@npsych.med.kyushu-u.ac.jp )で
     29年12月15日から30年1月15日午後5時までに
     九州大学病院へ。
 
  ==============================================

<今月の投稿から>

「NPO法人丘の上の街主催講演会
ひきこもりの現状とこれからの未来を見つめて」メモ      
                    2017.12.A男


佐藤武先生(佐賀大学保健管理センター教授・センター長;精神保健指定医、産業医)のお話は大学の中の豊富な実体験とグローバルな知識に裏打ちされて、大変興味深い内容でした。
紙面の都合で講演内容のごく一部をメモ書きでご紹介します。
短く纏めるために私の偏った見方になっているかも知れませんが、講演を聞いてこのように受け取った人も居るのだ、と許して頂きたいと思います。
残りをご希望の方は支部会に参加くださった時お渡ししたいと思います。

〇不安や恐怖の起源
5億年前私たちの祖先がか弱い魚だった頃、恐ろしい外敵から逃れるため外界に異常を感じたらすぐに逃げる行動がとれるような仕組みを手に入れた。天敵の出現ををストレスとして捉える仕組みである。ストレスを感じると脳の偏桃体が活発になり、体に逃げるように指令する。
魚が、類人猿、ホモエレクトス、私たちホモサピエンスへと進化する過程で、天敵以外に、孤独、記憶、言葉などの要素もストレスに加わった。 
魚も、チンパンジーも天敵や孤独等、ストレスの不安や恐怖が長く続くとうつ病状態になることが知られている。         

〇動物は群れで生きている。
動物は群れから外れると生きられない。ところが今、人間は一人でも生活できるようになった。
しかし、人間も群れから離れると不安に襲われる。
今ランチメイト症候群(※1)や便所飯(※2)という言葉が流れている。孤独状態になると不安が人を襲うのである。
(筆者注1:食事を一人でするような自分は人間として価値がないのではないかという不安 注2:相手がおらず一人で食事を取るところを他人に見られたくないという理由から特にトイレを食事の場所に選ぶことを指すインターネットスラングで、ランチメイト症候群の一種とされることもある)

〇狩猟社会ではみんなが平等に分け合った。
肉が保存できず、捕獲後すぐに均等に分配していた。
穀物は保存でき、階級に応じて分配される。
平和な狩猟社会が、農業社会で貧富の差が出来ると不満・不安から脳の扁桃体が暴走を始める。これからうつ病への道を歩み始めたと言われている。
そんな現在でも、平等社会のタンザニア・ハッザ族はうつ病の発生がない。
財産を持たない、社会的義務もない、家庭での責任も少ない、会社・上司、請求書税金などに煩わされない、そんな羨ましい生活がハッザ族にはある。

〇こころのセルフケアに心がけよう
① 早寝早起きの規則正しい生活を送る。太陽の光を浴びる。
 ・元気ホルモンであるセロトニンは太陽の出る昼間に分泌されやすい。
  日が沈んでからはメラトニンが活動する
 ・早寝早起きを心掛け、寝る時間や起きる時間も規則正しくすると効果的。
  (筆者注:セロトニン=脳内では扁桃体の活動を抑える。不安や恐怖反応が抑制される。
   メラトニン=睡眠促進作用、外界の24時間周期に体内時計を同調させる作用がある。)  
② リズミカルな運動
 ・スクワット、歩行、深呼吸(ヨガ、太極拳)などのリズミカルな運動はセロトニンを活性化。
 ・歩くことでやる気がでる。
  ひきこもり:歩く楽しみと人との出会いを失った人 ⇒ みんなで歩く手伝いをしよう。
③ 食事の時はよく噛む、睡眠の改善にもつながる。
 ・噛む、リズミカルな運動=セロトニン活性化、・肉、大豆など蛋白源を朝から、毎日食べる
④ グルーミング・スキンシップ
 ・毛づくろい、ノミ取り、ふれあい、癒し合い。親子恋人のスキンシップ、家族のおしゃべり
 ・セロトニンの活性化とオキシトシン(愛情ホルモン)の分泌促進の効果がある。
⑤ トリプトファンを含む食品を食べる。体内で合成できないアミノ酸でセロトニンの材料となる。
 ・バナナ、豆乳、牛乳、ヨーグルト、肉、納豆などに含まれる。
  植物性蛋白質の方が脳内でセロトニンの材料として利用されやすい。
  豆乳=バナナ療法で元気になったひきこもり学生もいる。
 ・卵=豆乳(牛乳)=バナナ、色の付いた野菜、トマト、キュウリ、などファイトケミカルを摂取して、抗酸化力をつける。
⑥ 継続が一番重要
 ・セロトニンの活性化には3か月必要と言われる。続けることが重要で「継続は力なり」だ。


〇なぜ日本人は対人関係が苦手になったか
 ・リードラーのザルツブルクのアレルギー調査を例に考えると
  農家の子   喘息 1% 花粉アレルギー 3% アトピー12%
  それ以外の子 喘息11% 花粉アレルギー13% アトピー29%
 ・これから言えることは、人類の文明社会は、家畜も細菌も無い「超清潔社会」を築いてしまったことがアレルギーの増加と関係する。
  雑菌の中で育った方が強いと言える。
 ・高校生で自信がない人が多いという統計がある。それを外国と比べると
   自分を肯定的に評価する人 米国41% 中国38% 韓国19% 日本 6%
   自分を優秀だと評価する人 米国58% 中国26% 韓国10% 日本 4%


〇「こころアレルギー」というものがある
 ・アトピーなどに似て、自分のこころを、自分が攻撃して自信喪失状態になっている。
  人に触れると自分が自分を卑下するので人と会いたくない、というのがひきこもりの核心。
  無意味に自分を責め、自信喪失状態に陥り、対人関係を維持できづらくなっている状態であり、
  自分を訳もなく無意識に攻撃し、自尊心が著しく傷つけられ、低下している状態でもある。
  日本人は一般に他人は良く見え、自分を卑下するとらわれ型が多いと言われる。

〇日本の大学生のメンタルへルスを良くするには自信づけがいる。
 ・日本の親は子どもに対して否定的なメッセージを与えすぎていないか、改善の必要があると思う。
 ・中国人は自分をポジティブに捉えている。
  日本の親は自分の子が一番と思っている割合が米中国などに比べて低い。
 ・日本人は人間関係においても「超清潔社会」になり、言いたいことが言えない状態になっている。相手のことを気遣いすぎる。
  表面的には人間関係が良いのだが、人間の本能的な感情を抑え込んでしまっているために、情緒的に不安定で、ひきこもりが増える要因の一つになっている。
  些細なことで傷つきやすい状態になっている。
 ・日本人は働くことを中心に考えすぎる。ニュージーランドなどは、一日の勤務時間の中にも休みがいっぱいあるし、年間でも1カ月の休みがある。
  10年働いたら1年の休みがある。
  仕事に対する価値観を変えなければいけない。
                              

※おまけ:南米原産の植物アマランサスはたんぱく質を多く含む素晴らしい野菜である。
 ひきこもり学生たちと休耕田を利用してこれを栽培し、これを食べて元気になるプロジェクトを 立ち上げたいと考えている。
 上手く行けば、アマランサス療法になる。
外に出ないのは、外に出る目標がないからだが、外に出る、お日様に当たる、そしてお金を得る…働く目標ができるのではないでしょうか。 以上

==============================================


今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ会報ページをご覧ください。      

福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、楠の会だよりNo.186号をご利用ください。

★ 筑紫野の集い  12月13日(水) (カミーリヤ)  参加者/6名

近況の話し合い  楠の会だより12月号、「話を『聴く』ということ」では考えさせられました。
当事者の悲観的な話になんとか気持ちが上向くアドバイスをしてあげなければと思い、両親で言い過ぎていたと反省しました。
個々の人生観や価値観を持って生きていく当事者の能力を忘れないようにしようと思いました。
また、戦中、戦後すぐに生まれ、大変な経済状態の中で生活してきた私達親世代の人生観・価値観と、経済が安定し、自由と民主主義の社会で育った若者のそれとは違ってきており、そのギャップに若者が息苦しさを感じているということもあるでしょう。
そうした中で、皆さんがなんとか当事者を理解しようと色々な所で学ばれていらっしゃることを、改めて強く感じた会でした。
さて1年が終わろうとしています。
セルフヘルプグループで月に1回他の家族の方と会い、語ることで当事者に向き合っていく力を養い、今年よりも来年がより良い状態になればいいなと願います。    

★ 福岡東部の会 12月16日(土)(コミセン和白)参加者/ 女性7人 男性2人

今回は福岡若者就労支援プロジェクトの鳥巣さんの参加があり、ちょっとした論戦になりました。
いつまでも同じことをしていては子どもは動けない、何らかの変化を親から起こしていかなくては、というのは誰も賛成でしたが、働くことを最初から目指してみてはと提案する鳥巣さんの意見にはそうかもしれないと思う人もあり、段階を踏まないとよくないとする意見とがぶつかりました。
少しゆさぶりをかけられるのもいいのかもしれません。
外国に住んでいるきょうだいがたまたま家に帰ってきて、母親と弟とが仲良く一緒に暮らしているのを見て、異常だと言われ、思い切って親自身が終の棲家を決めることにし、ついでに子どもにも一人暮らしを承諾してもらったというお話もありました。
東部の会はすでに就労している家族が数人あり、その人たちがまだ来てくださって、ひきこもりの相談にものっておられます。
<助け合い>が実践されているところです。(F)