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楠の会だよりNo.242号(2022年8月)記事より 

石麻呂(いわまろ)に 吾れもの申す 夏痩せに
よしといふものぞ 鰻とり食(お)せ
   
            (万葉集 大伴家持)


    

ひきこもる人たちの近未来を考える
      ~混迷の世紀に向かって
            
今世界の耳目を集めている大きなニュースは、コロナとウクライナ侵攻です。
この二つは私たち地球人に今までになかった問題を投げかけています。
二つの大きな戦争を経て人類が得た智慧として、民主主義という信条を私たちは大事にし、それに基づいて未来を考えてきました。
しかし今それに疑問符を突き付けられています。
戦争と言う破壊と殺戮によって簡単に踏みにじられる人権、そして自由の抑圧。
私たちは何とはなしに、将来はより自由に、より幸福になっていくと希望を持っていたのでしたが、その希望は今少しずつ薄れて行きます。
私たちはもう一度世界の仕組みを考え直していかなければならない大変な時代の転換期に遭遇しているようです。

このような世界情勢になって、日本に110万人と言う生き難さを抱えた人達がいると言う、いわゆる「ひきこもり問題」はどう考えたらいいのか、世界情勢とひきこもり問題と、実は全く無関係ではないと思われる節があります。

戦後の日本は経済成長期を駆け抜け、ともかく「お金を儲けるために、少ない投資でいかに多くのお金を稼ぐか」と言う効率性や競争原理が重視されてきました。
この価値観の中で育ってきた人たちの、そのつもりではなかったかもしれない抵抗がひきこもりではなかったでしょうか。
先月号でご紹介した「我が家の8050ガイドブック」(一般社団法人OSDよりそいネットワーク発行)は<第6章コラム>の中で、日本社会がとってきた経済の仕組み自体がいびつなのではないか、もう一度「人間らしい生き方・働き方」というものを考え直す時期に来ているのではないかと提言しています。
そして新しい生き方の方向が示めされています。
〇里山資本主義
10年ほど前に、藻谷浩介・NHK広島取材班著「里山資本主義―日本経済は安心の原理で動く」(2013角川書店)の冒頭部分で、「マネー資本主義」の価値観の中で猛烈に働いていた人が突然リストラされ、失意の中で田舎暮らしを始めたところ、地産地消の循環型社会の中で新たな幸せを手に入れたと言うエピソードが紹介されているそうです。(以下 ” ”は「ガイドブック」より引用)
”そもそも株式会社や資本主義の概念が入ってくる前の日本は皆で協調しながら生活を営んできたのではなかったでしょうか。春になったら田植えをし、秋が来たら収穫すると言う暮らしが主流だったのではないでしょうか。せめて「マネー資本主義」的な一本目のレールに並列する「二本目の道」として、「里山資本主義」的な価値観を日本の主流の価値観として位置づけることはできないものでしょうか。”
〇二本目の道
”OSDとしては、今後「里山資本主義」の実践者の方々とも連携し、相談者(ひきこもり)の皆さんに「二本目の道」を具体的に提示できるような関係を築ければと考えています。”
”都会では行政から生活保護を受給して生活を維持するほかない人でも、物価が安く、空き家が多く、商品化できない野菜等が多く存在する「里山の経済」の中であれば、「健康で文化的な最低限度の生活」は、生活保護に頼らずとも、自ら維持することができるのではないでしょうか。
そして、このような「二本目の道」の存在はひきこもりの人だけではなくすべての人にとって、疲れた時に「気兼ねなく休む」ことができ、そして「充電が完了したら、新しい道にチャレンジする」こともできる、生き方の多様性に繋がっていくのではないかと考えます。”

いかがでしょうか。
今テレビでも「いいいじゅう(移住)」と言う番組があります。
「ポツンと一軒家」と言う番組もあります。
当事者に聞いてみたところ、意外にこれらの番組を見ていると言います。
生き難さを抱える人たちにこのような暮らしも少し考えてみてもいいですね。(会報編集員吉村)


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<投稿 Ⅰ> 
<  佐賀県(精神保健福祉センター)
   「ひきこもり家族会」に参加して  >


7月の初めの土曜日、精神科の先生の講演を中心とした研修会に参加させていただきました。
講演会は今まで幾度か聞いた精神科の先生の講話の中ではユニークな語り口で面白く且つ、新鮮な印象を覚えました。
又県外の家族会は初めての経験でしたが、改めてひきこもりが如何に切実な社会問題になりつつあるかを考えさせられる場面でもありました。
ただ、私のこの所見は車での帰路の途中に、変化を生じさせました。
高速道路を運転中にラジオを聴いていると、ある企業のコマーシャルが流れてきました。
新米の社員が社内雰囲気になじめず、空気が読めなくて困っていると先輩に相談するシーンなのですが、ここで先輩が「〇〇君、空気は読むものではなく、変えるものだよ」
自社の換気システムをアピールするのがねらいのCMだったのですが、これが私の気持ちを揺さぶりました。
そしてなにやらもの思いを始め、私が三十代の頃の記憶が蘇ってきたのです。
それは私が妻といさかいを起こし、仕事のストレスも重なって子供たちにも気を遣わせ家の中が重苦しい雰囲気に包まれた夜の事です。
自室で独り鬱々としていた時、部屋の扉がゆっくりと開いて、幼稚園に上がったばかりの長女が近づいてきて、私の手の中に何かを握らせました。
キャンディとチョコレートの包みが一つずつありました。
「パパ、どうぞハイ」
急な贈り物にとりあえず「ありがとう」と言って顔を和ませました。
すると、満面の笑みで私を見つめ、走るように部屋を出ていきました。
そのあと妻に何か報告をしていたとは感じましたが、慟哭して涙を溜めている私にはよく聞こえませんでした。
それまでの陰鬱な気持ちを娘の小さな手と笑顔が一瞬に消してくれたのです。
そして私と家族の間に澱んでいた空気を吹き飛ばしてくれました。
「空気を変える」とはこれだったのか。
私たち夫婦はこれまでどれほど子どもたちに「換気」してもらったことでしょう。改めて気付かされました。

佐賀からの帰路は感慨深いものになりました。
この3年あまり 私は相当数の家族会に出席し、それに伴い数多くの講演も拝聴してきました。
知識も増え、それなりに思考し模索も繰り返してきたようにも思います。
しかしそれは「ひきこもり」という空気を読む為だけにすぎなかったようです。
この日の精神科の先生のレジュメの中に心のトラウマから回復させる話が出ていました。
思いっきり話す事(talk) 思いっきり泣くこと(tear) たっぷり時間をかけよう(time)
今,この文言が思いっきり私の体に浸透しました。やっと次のステップに進めそうです。(H)

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★筑紫野の集い 7月13日(水)13:30~15:30 (カミーリヤ) 参加者 5名(女性4、男性1)

新しい方が来られたので皆が自己紹介をしました。
ネットで楠の会にたどりつかれたそうです。
皆さんと同じように他の所にも相談に行かれていました。
集いの後、メンバーが相談機関をアドバイスしていました。
気持ちが少しでも前向きになられたなら良いのですが。

就労継続支援B型事業所を開所した方が来られたので、事業所について話をうかがいました。
就労支援の仕事内容はIT系のクリエイティブ、動画編集、eスポーツ、マーケティング、ライティングの最新のデザインソフトやツールも準備されており、若者は興味があるのではないでしょうか。
親としては当事者が関心を持ってくれて、動き始めるきっかけになればと思いました。
*8月の筑紫野の集いはお休みです。 (K)

★ 久留米の集い  7月 22日(金)13:30~16:00 (えーるピア久留米)   参加者 7人

新しい方はなく、いつものメンバーでフリートーキング。
〇一歩の会(若者の会)のお世話係の方と最近参加されている若者が途中から参加され、親と違った意見感情などが聞かれて、我が子のことを違った視点で見ることができました。
ありがたいことです。
〇必ず支援者は、「親が楽しんでください」と言われるが、そんなものかなー。なんで今さらそんなことを考えなければならないのか、もう先がないのに・・・とあるお父さんの言葉。
また毎月ここにきて、皆さんのお話を聞いてよいと思われることを一つ二つ家に持ち帰り、実行しますとおっしゃいます。
〇「楠の会」に行ってくるよとまだはっきり子どもに言えない私は、ある人がカレンダーに「親の会」と書いていると聞き、そこからやって見ようと思い、帰って早速カレンダーに書き込みました。 (S)




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