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楠の会だよりNo.183号(2017年9月)記事より

どこからか一陣の涼しい風が吹いてきて、ほっと一息つけるこの頃です。皆様は猛暑の夏を無事に過ごされましたでしょうか。

<10月の講演会案内>
講演会 ひきこもり長期化・高齢化の打開に向けて

 日時:平成29年10月14日(土) 14時~16時30分
 場所:あいれふ7階 第2研修室
       (福岡市中央区舞鶴2-5-1  )

 講師 加藤隆弘 先生
    (九州大学病院精神科神経科講師・精神科医)


今回は、ひきこもり者への治療的実践に加えて国際的なひきこもり研究を実施されている精神科医を講師としてお招きし、特に医療面から見たひきこもりへの支援に向けた多角的アプローチについて学びます。家族、支援者、当事者、関心のある方、どうぞお気軽にご参加ください。

   定員70名 参加申し込み:下記チラシをご覧ください。
   参加費:1000円 (福岡「楠の会」会員は無料)
   講演会のお問い合わせは
   090-8222-7403 福岡「楠の会」

<今月のトップ記事>

発見! 斉藤環先生の珠玉の言葉

支部活動の中でNHKビデオ「ひきこもりからの回復」を紹介していますが、3巻を通して斎藤環先生が登場され、適所にコメントを挟んでおられます。

斎藤先生の言われることは、例えば“会話はまず挨拶から”とか、”お小遣いは一定額与える”、とか“正論ではなく共感を”とかよく知られている事柄ですが、このような理論の根拠になっている本があることをある時見つけました。
精神分析的アプローチと副題があり『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』(2012年初刊ちくま文庫)という本です。 

この本は、専門家しか触れることができないような理論を、素人の人達にもわかりやすく丁寧に誠実に説明されています。
読むほどに先生の言わんとされていることが大変よく理解できることにも気が付きました。
ひきこもりへの理解をより一層深めてみたい方には是非一読をお勧めします。

その一部分をここにご紹介します。家族について大変重要なことが述べられている部分だと思います。

 家族は、なんとかわが子をひきこもりからぬけださせようという作業グループとして機能しようとします。
しかし残念ながらそれはまったく機能しません。
これは家族の無意識の部分において、家族関係を破壊するようなエネルギーが渦巻いているからです。
それがどのようなエネルギーかと言うと、クラインのところで述べたような、勘繰りや腹の探り合いから生じてくるような投影であったり、妄想分裂態勢などです。

これが続いている限り、家族は作業グループとしての本来の機能を回復することができなくなります。‥‥もしそういうパターンがあればそれはこういうことですよと指摘しています。
つまり、家族における無意識的でネガテイブなものが作動している過程について外部から指摘しながら、それに気づいてもらうのです。
そうしたものがある限り目的を持った家族の集団というのは維持されにくいからです。‥‥

家族の無意識、すなわち基底的想定には、目にしたくない現実がいっぱいあると思います。
家族の中には、かならずしもひきこもりに対してプラスに働くとは限らない、いろいろな欲望があるのです。
それを少しずつ家族自身の意識に上るようにしていくことが、私の家族相談の第一歩なのです。
(第4章「基底的想定グループ~家族の目的を明確に意識する」より)

私たちが四戸智昭先生のもとで学習会をやってきた趣旨がここにあると思います。
家族の集いは仲間との出会いであり、情報交換の場であり、それはそれで重要なことですが、もう一つ大事なことは家族というグループが陥りやすい退行現象(とも言われている)、負の方向に動く力を客観的に見て、それを無意識の領域から意識の上にあげていくことが先生の家族相談の第一歩だと述べられています。

しかしこれまで専門家や医療機関などを全く利用されていないご家族もあります。
行き詰まり感をお持ちのご家族も今までのやり方を変えることで変化が起こってくるかもしれません。

今回、ひきこもりについてグローバルな見地から研究されている加藤隆弘先生(九州大学病院精神神経科)をお招きして、「ひきこもり長期化・高齢化の打開に向けて~医療から見たひきこもりへの多角的アプローチ~」をいたします。
先生のご希望で会員の皆様との座談会を企画しています。ぜひご参加ください。(上のチラシを参照してください。)      

 

福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、楠の会だよりNo.183号をご利用ください。

★ 福岡東部の集い 8月26日(土) コミセン和白   

 やっと一人暮らしをさせることにしたというお話に、すごいなーといいながらそのいきさつをお聞きしました。
 また就労していたが仕事が苦痛になり辞めざるを得なくなってしまった息子さんの事例が2つでました。
 ご本人のお年も40歳代。世間でもうつ病、過労死等働き方を問題とするようになり、夫の世代とどこが違うのだろうかという話になりました。
 家のため親のため、学歴偏重でいい学校をでていい会社にはいるように子どもに押し付けてきた。
 子どもの個性を大切にして、自分がどう生きるのか、自分で選んで、技術を身に着けたり、学校を選んだりさせていなかった。
 小さい時からよく会話をしてくればよかった、仕事に対して生きがいややりがいを大切にしてあげればよかったなどと、子育てへの反省しきりでした。
 親の自分が発達障害だという人があれば、私もそうらしいとか、いつもの和やかな笑顔で終わりました。  (S)  

★ 福岡の集い 8月29日(火)あすみん  参加者10名

福岡の会では新しいメンバーの出席が毎回ありますので、遅まきながら「ひきこもりからの回復」1巻のビデオ学習をやりました。あるお母さまの感想文をご紹介します。。

● 山口さん(男、35歳)は子どもの頃は活発でクラス委員長。
ドラッグストアの店長候補になったが、人間関係で躓き、自分を卑下し、被害妄想で6年ひきこもる。恐怖が一番の壁だったそうだ。
長岡心のクリニックのひきこもり外来にたどり着き、薬の調整がされ(それまで多い時で11種類を飲んでいた)。
クリニック併設の居場所のリーダーになり、みるみる元気に(役割が回復につながる)。
就労移行支援事業所では、ストレス耐性が弱い本人の目線の少し上を目指す支援で、再就職の手ごたえを感じるまでに。

● 林恭子さん(女)10~20代は不登校でひきこもり。
ずっと母の「良い子」で生きてきて、母に人生を壊されたと怨んでいた。
母が変われば自分も変われると考えていたのに、27歳で出会った泉谷先生から「母が変わらなければどうしますか? 母の話でなく、あなたのこれからの話をしましょう。」と言われて、「何をどう考えるの?!生きていくやり方がわからない、今までの延長線上なら生きていたくない、もう、人生を終わりにしたい…」と。
先生は、「本当のあなたはあなたの底のほうに眠ってるだろうが、そのあなたまで亡くなってしまうのは残念ですね。」と伝えた。
つまり、偽りの自分で生きているのが嫌なのだから、こちらが、本人以上に本当の自分を信じることだ、というのだ。
30歳になり、親子でも他人、理解してもらうのは無理なんだと分かったよ、と伝えたら、母も肩の荷が下りたみたいに見えたそうだ。
自分に目を向けること数年、仕事をもち自立し夫もいて、母とは言いたいことを言い合い、旅行に行き、喧嘩もする。
ひきこもる時間があったからこそ、本来持っている資質、感じ方で生きていることが大事だと気付けた。良かったと思う、と。

●斉藤環さんは、息子は父と争い父に勝つことも出来るが、娘は母を否定すると罪悪感を持ってしまう母性原理の重圧があるそうで、「正確」だけを言われ続けるときつい、思春期以降は「正確」を見つけるのが自分の課題なのにと。耳が痛い。
「ひきこもりシステム」は安定しているがゆえに抜けにくく、無理は止めねばいけないが、ありのままはそのままだ、と話す。
長くひきこもると自分の欲望が見えてこないが、人付き合いで見えてくる。
他者から承認してもらうことは自信になる(家族は当たり前)。
治療的支援では少しだけ背伸びすることでストレスに慣れていく、例えば毎日同じ所へ行き同じ人と過ごす。
環境調整して、本人が自分で決めてやったかのように、お膳立てする。
就労しても先に家族が安心するとガッカリするので、本人が安定して、大丈夫、となってから親は安心するのが良いそうだ。
「ひきこもり新聞」でピアサポートしている大橋さんが書いていたこと。承認欲求で若者は外に出る。自分の中に心の貯金がないと動けない、と。 (M・Y)