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             →先月記事はこちら

楠の会だよりNo.271号(2025年1月)記事より

傘寿すぎて 人は変わる 「ごめんね」から
「ありがとう」になる 母の口ぐせ
             (俵 万智)


新しい年を迎えて
新年おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
ここ数年想像だにしなかった天変地異におろおろするばかりで過ごした気がするのは私たち老人だけでしょうか。時の流れはとどまるところを知らず、流されていく中にも周りを見ながら何かを知りたいと気持ちばかりではありますが、努力を続けていけるよう願っている新年です。

さて、今年度の福岡「楠の会」は、いくつかの新しい取り組みを試みています。11月には〖働いていない子の将来の暮らしを考える〗というテーマで、親がいる場合はどのように家計のやりくりができているか、それをもとに、片親が亡くなった時、そして両親がいなくなった時を想定できるように、当日家計表を準備して家計の数字の見える化をしてみました。その際グリーンコープから来られた講師は、引きこもりの親のケースもお話しいただきました。特に注目したのは、カレンダーに電気料金など定期的な大きな支出を書き込み、それを目にした他の家族や本人になんらかの変化があったという例や、住んでいた家を売却し、借家に移り住むなど思い切った生活基盤の変更を実行して、本人の動く力を引き出した例をお話しされました。そこまでの覚悟を必要としているのかと、思われた方もあるでしょう。 12月には福岡の定例会で、B型作業所を主宰しているTさんをお呼びして〖親亡き後の住まい方〗というテーマで、親亡き後どのような住まい方があるかを、グループホーム、公営住宅や民間アパート・マンションに住む場合の状況、見守りはあるのか、訪問看護制度の内容、などを現場からお話いただきました。
今月15日(水)には宗像支部で、引きこもり支援の現状を知っていただくために、福岡県引きこもり地域支援センターから講師をお招きして〖ひきこもり支援〗についての講演会を開催いたします。
2月1日から15日まで福岡市の<あすみん>で、ひきこもり家族とその当事者のことを知っていただく広報活動として、〖福岡「楠の会」作品展示会(あすみんミュージアム)〗を開催いたします。会員の皆様にはご無理を申し上げましたが、出品作品も増え、開催に向けて準備が着々と進んでいます。11日には「福岡の集い」も兼ねて家族交流会を開催予定していますので、ぜひ応援を兼ねてご参加ください。

さて、今年でこの会の活動が20年を超えて見えてきたことは、一度でも自室から出て外へ何かを求めてきた人たちには様々な生き方の道筋ができていると確信を持って言えることです。
あるケースです。まだ会を立ち上げた頃毎晩泣きながら電話をかけてきた女性(30代初め)がいました。この秋彼女と別れて以来初めて会いました。もう50代に入っているはずですが、若々しくてきぱきと言葉を交わすことができ、こちらのほうが老いを感じてしまいました。福岡で作業療法士の学校に通い始め、パワハラに会って大変でしたが、最後に東京で免許を取りいまやベテランの作業療法士として立派に仕事をこなして、生き生きと生活を楽しんでいる様子でした。
こうしてみると、どの支部でも長きにわたって会員になっておられる会員の当事者の皆さんは、支援につながっていたり、あるいは親の会だけだが、親が社会とのつながりを持っていたり、兄弟姉妹など事情を知っている近親者の存在があることなどが救いになる可能性を持っている、というような方が多く、何か起こればなんとかなるだろうという気がします。(以下省略)   (記 吉村)

ここホームページでは以下を省略しましたが、会報271号ではもう少し続きます。興味のある方は会報を参照ください。



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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。
投稿の一部を掲載しています。→楠の会だより投稿    

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★宗像の集い 12月18日(水)13:30~16:00 (メイトム宗像)参加者 6名( 女性5,男性1) 

1.「ひきこもりボイスステーションin山口」全編1時間30分 うち40分 (動画 視聴)
2024年10月19日 山口でのテーマは「今わたしにできること〜安心できる第三者の力」でした。その中で元ひきこもり、杉野さんのひきこもり体験談話が興味深かったです。
小さいときから、「自分から何かをする」という事が苦手で自分の意見を持たず、親が動いてくれた通りに大学に入学しました。目的を持たず、勉強するモチベーションも持たず、ずるずると休んでしまい、留年・退学となりました。直ぐに次の大学に入るも、同様の過程で退学に至ってしまいました。今度は復帰するまで3年以上必要となります。将来に不安を抱えながら過ごしていた時、親が見つけてくれたふらっとコミュニティに通所するようになりカウンセリングや当事者会に出るうち少し社会性が取り戻せました。そんなとき小学校の友達がディズニーシーに行こうと誘ってくれました。遊びに行くのなら自分のお金で行きたいという変なプライドからアルバイトを始めました。それが自信に繋がり、今はひきこもり支援員の仕事をしています。良い第三者の力はとても大きいなと感じました。 (ひきこもりVOICE STATION 全国キャラバンの模様は厚生労働省のホームページで見ることが出来ます。)

2. みんなで話し合い
a:何か行動をするとき正しい行動が出来ているかを点検するため、我が子は何をするにもとても時間がかかります。やっと病院につながったところですが、すぐにその症状が改善されるわけではないので待つしかないのでしょうとお母さま。忍耐がいるなあと聞いている方もため息でした。でも、とても丁寧に生きているんだとの見方もありました。
b : 本人がずっと別居されているお母さんは、別居しなくてはいられなかったし、それで今は親も、多分子もずいぶん楽になったでしょうと言うお話もありました。
c:こちらも忍耐のいるお話、やっと医療に繋がりはしたものの、よく眠れないことを訴えられているようでした。体を動かすといいと思うけれど今は少し散歩をするぐらい。でも週に一度くらい料理をされるとか、何かしらご本人も努力をされているのでそれをありがとうとか言って、認めてあげるぐらいしかできないかなと言う意見。
d;この会に来て情報をいただき、ある支援者に相談に行ったところ、子どもがそこへ行くと言うことになっていますと期待を持っておられました。

★福岡東部の集い 2月19(木)13:30~16:30 (コミセン わじろ ) 参加者 5名 ( 女性 4 ,男性 1 )

寒い中、仕事の都合をつけてきてくださった方に久しぶりにお会いできました。人数の割には豊富な話題がでました。

〇 故障した電器製品のことで電器店に電話したら、わかる方に代って下さいと言われた。初めから年寄り扱いしている。私が世帯主だと言ってやったと言うお話(笑い)。

〇 何からこうなったか、映画「最高の人生の見つけ方」の話になりました。余命宣告を受け、やりたいことリストを作り、豪快に次々にやっていく最後の命の使い方に感動したと言うお話。私たち、こんな豪勢でなくても、やりたいことをやっていけてるかな?もう人生の残り時間が少なくなっている時だから。

〇 傾聴ボランテイアをされている方から「こんな本をお勧めです」と紹介されたのが、小林正観の本「ありがとうの神様」(ダイヤモンド社)です。2万5千回「ありがとう」を言うと奇跡が起こると言う内容だそうです。心がこもっていなくても形だけでもそのうちに気づきがでてくるそうです。
また、誰でもが気軽におしゃべりに来られて憩える居場所が必要だ、今あちこちでそのようなカフェができているので行き詰っている人たちが気軽に行ける場所として利用できるのではないかとお話しされました。未来に向けて希望の持てるお話に心も熱くなりました。

〇 そういえば会報で紹介した石丸昌彦先生があのテキストの中で、苦境を乗り越えいつも「ありがとう」と感謝の言葉を忘れない女性のことを取り上げ、ありがとうを言えるようになると回復が早いと言われていたのを思い出しました。(S・Y)

★福岡の集い 12月22日(日)14:00~16:00 ( あすみん ) 参加者 12 名 (男性 5 、女性7 )

〇 お知らせしていましたように、いつもの例会ですが、「親亡き後の住まい方を考える」という課題を皆様に提供し、それに従って今回は参加者の皆様と話題を共有することにいたしました。住まい方としていますので、日頃この方面に精通されている就労継続支援(B型 )の事業所を運営されているTさんに講師として来ていただきました。

〇 最初に、NHKTV「視点論点」(講師 藤森 克彦氏 日本福祉大学)で、今後高齢者のみならず単身者が増えていくことが確実である上に、近親者のない人たちであることが予想されるとして、今まで国策として推進してきた「持ち家政策」を抜本的に見直し、福祉政策としての住宅政策を推進すべきではないかという提言をたまたま目にし、プリントにして読んでいただきました。

〇 そのあとTさんがグループホームの現状、使い方、支援の内容などを丁寧に詳細にお話いただきました。日頃不自由さを人一倍背負い、奮闘する人たちをきめ細かく、制度の範囲すれすれに、またはそれを超えて、支援される様子が、それも金銭抜きに奮闘されている様子がよくわかるお話でした。一言でいえば障がい者の制度を使うことが今現在問題視される孤独死や孤独孤立から身を守る最後の砦であろうと思うことができました。

〇 ただこの点を理解しながらこれから先に進まない大きな問題点があります。その一つは、特にひきこもりという範疇にいる人たちは障害という言葉を嫌ってこの制度を利用しようとしない傾向にあることです。一昔前に比べれば現在障がい者への偏見はかなり薄くなってきました。今や真に子の将来を考えるならば、何を捨て何を拾うか決断を下すべき時ではないかと思います。「NPO法人ニュースタート事務局」(現在事業終了予定)という引きこもり支援団体の二神能基さんは、人間はみな障がい者だというのが口癖でした。むしろ今ある福祉住宅制度を使うことによってより充実させていくほうが得策ではないでしょうか。

〇 次に問題になるのが、Tさんが強調して言われていたことですが、親は子どもがどのような症状からひきこもるのか、きちんと知ってほしいということでした。つまり強迫症状が強いのか、対人恐怖が強いのか、うつ症状か、発達障害傾向か、など精神科医に見立ててもらい、それを参考にやっていくと支援側も支援がやりやすいということです。実は就労移行支援などの福祉サービス制度を利用する必要条件が医者の診断書なのですからちょうど重なることになります。この壁をクリアできるかどうかが、やはり最重要課題ということになります。

〇 最後にTさんに質問したのは、「親から離れて生活するようになると本人は変わりますか?」でしたが、Tさんは、「もちろんです」と、言わずもがなだとばかりに、にこやかに答えられました。親はどのようにして子から離れることができるか、大抵の人が苦慮していることです。悩ましい問題ですが、この壁をどう超えるか、まさに正念場ではないでしょうか。(Y・F) 

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