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楠の会だよりNo.192号(2018年6月)記事より

身近で起きた8050問題、加藤先生の講演会 そして フォーラム

春は短くてもう梅雨の季節にはいりました。

先日、やはりという事件が新聞紙上にかなり大きく出ましたがご覧になった方もあることでしょう。
福岡県北部の市で「4月、母子2人暮らしの民家で 死後2カ月ほど経過している母親(88)の遺体が見つかった。
病死の可能性が高く、同居の息子(61) が周囲に支援を求められずに放置していたとみられる。
高齢の親と収入のない子の世帯が孤立する ケースが近年、社会問題化しているが、母子もその典型だった」という記事です。(毎日新聞5月28日朝刊)

5月27日(日)福岡市精神保健福祉センター主催で講演会「長期化打開のために家族ができること」(講師加藤隆弘九大病院精神科)がありましたが、会場いっぱいの参加者を見るとやはり高齢者が目立ちました。
加藤隆弘先生には昨年「楠の会」でお話していただきましたが、今年は資料も120ページを超えるもので、ひきこもり支援への熱意が伝わりました。

親や近親者がこのような様々な支援の情報を得て何らかの行動を起こせば道が拓ける、と私たちは確信しています。
7月16日(月・祝日) フォーラム「わが子を社会につなごう」を開催し、若年層から壮年まで年齢に応じて利用できる社会資源を、ひきこもり支援関係者に来ていただいてご紹介していただきます。
日程を合わせてぜひご参加ください。
(詳細は下記チラシをご覧ください)

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<7月の催し物案内>
●福岡「楠の会」主催 フォーラム 1
「わが子を社会につなごう」

 参加申込は下記チラシを参照ください  


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<今月の投稿>

ますます進む社会の効率化を考える    
 

5月19日(土)の四戸智昭先生の講演会&オープンカウンセリングについて、前半の先生のお話を簡単にまとめてみました。後半はオープンカウンセリングで、皆様のお困りごとなどに先生からヒントをいただきました。
聞き間違いがあるかもしれませんが、その場合はお知らせください。(文責 吉村) 
 

〇強制不妊手術について
近頃のニュースで大変ショックだったのは、戦後も、それもたかだか30年に満たない前まで日本で優生保護法の名のもとで強制不妊手術が行われていたことです。
対象者は鬱やアルコール依存症、今でいう発達障害らしい人たち、長期入院治療を必要とした人たちだった。
障がい者に対してドイツでは戦前優生学(優秀な遺伝子を残すべきだという学説)の理論が起こった時代で、医療者が先に時のナチス政権に、パーキンソン病とか、アルコール依存症だとか精神障がい者を抹殺する提案をした。
医療者の言い分は、治らないのだから生きていくのが苦しいだろう、殺してあげたほうがいいことなのだ、と。
ナチスはアカデミズムの後ろ盾を得てこれを採用し、ユダヤ人より前にまず障がい者をガス室送りしていた。
10年前にやっとその事実が歴史学者など外部の調査から明るみに出て医療者は事実を認め謝罪した。

日本では障がい者を抹殺ではなかったが、旧優生保護法のもとで、同意を得てと言うが、強制された不妊手術が行われた。
医療者の言い分は、障がい者が子どもを持つことは不幸だ、また面倒を見なければならない家族にとっても大変だ、そうならないようにしてあげるほうがいいことだとして、優生保護法が作られ実施されていった。
それもつい最近まで当然のごとく続いていた。
精神科医の香山リカさんも医者になりたての頃当然のことのように思って疑問をもたなかったと言う。
のちに彼女は医療者として産婦人科学会と精神医学会という自分の足元を批判するようになったが大変だったろうなと思う。

〇気が付かない強制された同意…思い込み
なぜこういうことが行われていったか、実は翻って現代の日本の社会にもこのように、世間から強制された同意というものが溢れかえっているのではないだろうか。
気づかないで暮らしている、あるいはそういうものだと思い込んでいることがいっぱいある。

あるひきこもり相談の事例だが、お母さんが家にいる30代後半の息子さんのことで来られた。暴言暴力もなく家族とも一緒に食事をしている。
4年前お父さんがガンで亡くなられた。
お父さんは強圧的でなく息子がやりたいことをさせてやれと言う人だったが、最後に息子を枕元に呼んで、“俺の葬式にはちゃんと出るんだよ、それも今日みたいなジャージーではなくちゃんと礼服を作って来い”と初めて指示的なことを言った。
そうしたら息子は紳士服屋に一人で行き礼服を作ってきた。
葬式に出て参列者にも挨拶したと言われる。
その後もお母さんの農業を手伝って草刈り機を使ったり、高齢化した農家の草刈りをして喜ばれ、差し入れをしてもらったり、お金ももらった。
そのほかホームセンターに行って家のこまごました修理や用事をしてくれるようになった。

「息子さんはひきこもりではないよ。何を心配しているの」とお母さんに聞くと、なぜ相談に来られたかきっかけがあった。
お母さんは若者サポートステーションに行ってパンフレットを持ち帰り、見えるところに置いていた。
数週間たってもいじられた形跡がないので、これを見るように、そしてサポステに行ってみないかとすすめたところ、息子はそんな所にはいかないとはっきり言ったと言う。
「お母さんは息子さんに働けと言わなければならないと思っているのね。言う必要ないよ」と言うとお母さんは泣き出された。
お母さんを締め付けていた見えない社会的圧力があった。
家の仕事を手伝っていたのではだめで、どこか会社に所属してサラリーをもらうというのが重要なルールと思っておられた。
見えない社会の圧力は幻想であるしお母さんの思い込みだが、そういうものが社会を取り巻いている。
このようなことは、今働き方改革が国会でも法制化されようとしているが、要は仕事の効率を上げることである。
いかに短い時間で効率を上げるか、である。これはすごく危険だなと思う。

〇アメリカの精神科医療の実情 今までの話と関連して最後にアメリカの精神科医療と薬の現状を話しておきたい。
アメリカという国は日本と比べて10年先を歩いていると言われている。
先日また高校生の銃乱射事件が起こった。
おそらく、高校生たるものは友達を作るべきだろう、成績を上げるべきだろうという暗黙の社会的圧力があったのだろう。
今高校生大学生の間でアデロールという薬が蔓延している。
これはADD(学習障害)やADHD(多動性注意欠陥障害)のお薬として、わざわざ成績が上がらないと言って精神科で処方してもらうのが当たり前のようにやられている。
処方薬だから麻薬と違って罪悪感はない。

しかし成分は覚せい剤である。1920年代覚せい剤はたまたま合成していた薬が鼻づまりによく聞くことから使われだした。
薬を飲むと頭もすっきり、集中できるし、寝ないで仕事ができることがわかった。
戦時中ドイツ、イギリスでも戦闘員は支給されているしアメリカも導入した。
日本でも特攻隊や夜働かなくてはいけない女性の職工さんたちに支給された。
戦後はヒロポンという名前で処方箋なしで手に入れやすくなり、やめられなくなるので盗みやお金を不正に手に入れたりする人が街中にあふれたので覚醒剤取締法で禁止した歴史がある。

アメリカでも依存性があるので一時発売をやめたが、やはり大変役に立つことから、医者が多動の子どもたちに使えないかと研究した。
スイスで同じような薬が作られたのをアメリカに持ち込み、リタリンという錠剤にして発売した。
まだ医療倫理がなかったので学校の先生たちが学校を通じて薬を紹介していった。
飲むと子どもはピタッと落ち着いて成績も上がる。
学校の先生は親に半ば強制的に進める。
親たちもそれを飲ませないのは悪なのか、と思ってしまう。
日本では、リタリンは、5年ほど前にうつ病への処方が禁止になった。
厚生労働省は、市場に出回るリタリンの量が多いと気づき、うつ病への処方が禁止された。

一方で、注意欠陥多動性障害に効果があるといわれるコンサータとよばれるような処方薬は、どんどん市場に出回るようになってきている。
いずれも覚せい剤と似たような成分と言われている。
アメリカではサット(共通テスト)を受ける人、IT関係の人が医療機関にADHD傾向だと言えばすぐ処方してもらえる。医者は依存性があることは知っている。
しかし社会は効率化を要求している。
落ち込んでいるのは悪、ひきこもりは悪、外に出てバリバリ働いている人は善、効率を上げることが善であれば、薬を使うことに躊躇しない。
日本も社会が効率化を進めていけばこれからもっと薬を使うようになるだろう。

〇オープンダイアログの試み
今斎藤環さんは精神科治療にオープンダイアログを提唱している。
フインランドで行われていて、薬に頼らない治療方法である。
患者さんを囲んで家族、医者、看護婦が同席してオープンな場で患者の問題を対話しながら、治療方針を患者の目の前で立てていく。
そうすると妄想が消えて行ったりする。
患者が語ることをよく聞くことが重要な役割を果たすのだと言う。
そうはいってもオープンダイアログを実際に取り入れているお医者さんは極めて少数である。
せめて私たちは社会が意図している見えない術中にはまらないようにしたい。
不機嫌な今日の私をよくないことと思わず、私らしさだと思うこと。
意外に電車で乗り合わせているほかの人もそう大して変わらない顔だったりする。
それよりもこのように多くの人と触れ合うことが皆様のお役に立つということで今日の話を終わりにします。

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ楠の会だよりNo.192号をご覧ください。
なお、2018年5月から、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。☞楠の会だより投稿      

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者の独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、楠の会だよりNo.192号をご利用ください。

★ 筑紫野の集い   5月9日(水) 13:30~15:30 (カミーリヤ)参加者 6名

近況の話し合いとフリートーク。
当事者の集まりの場所はいくつかあります。
人と交わり、社会につながる第一歩の場所ですが、 ‘頑張ってやっと行く’ というのではなく、本人がリラックスして行くことができる居場所であってほしいという意見がでました。
当事者の方と久々に話す機会があった方が、その時そのように思われたそうです。 

また2月に行われた筑紫野市主催の立花高校校長齋藤正人先生の講演会の話しも出ました。
心に刻みたい言葉を聞きましたので書きたいと思います。
 ・出来ていない事を嘆くよりできている事を認めてみよう。                
 ・100回の ‘頑張れ’ よりたった1回の ‘よう頑張っているね’ 。共感的理解。
 ・子供の仕事は大人に手をわずらわせる事、大人の仕事は子供に振りまわされる事。それぐらいに思っていてちょうどいい。
 ・人生の厳しさより人生の楽しさを示そう。
その他、当事者にもご両親にも何らかの動きがあるお話が聞けました。
また1人の若者の前向きな取り組みで、この集いに集まる方々の気持ちが結集?して、楽しい集いとなりました。    

★ 久留米の集い  5月25日(金)14:00~ 16:30(えーるピア)参加者/参加者7人・支援者2人

わが子の状況を話題にしました。
その中で会での勉強が実り、周りの方との協力を得て、少しづつではありますが前に進んでおられるうれしい報告もありました。
途中からFさんのお嬢さんが今日はお父様と一緒ではなく1人で来てくださいました。
久しぶりにお目にかかるお嬢さんは笑顔がとても素敵でいろんなことに前向きで楽しんでおられる様子です。
福岡「あすみん」であったUX女子会に出られたとかで、林恭子さんにもお話しされ、福岡でも女子会の立ち上げを考えたいとか、とても頼もしく感じました。
今日はB型就労支援センター「まんまる」よりお話に来てくださり、とても分かりやすく丁寧な説明がありました。 今日も会に出席して充実した時間を過ごすことができました。
私自身も刺激を受け、また明日から息子と向き合っていきたいと思っています。 (Y・T)