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楠の会だよりNo.197号(2018年11月)記事より

四戸智昭先生(福岡県立大学大学院)学習会&オープンカウンセリング
「女の現実・男の幻想」を聞いて(10月30日・火)

小春日和の柔らかな日差しの天神のど真ん中、たくさんの人とすれ違いながら、いつも少し疎外感をもってその中を歩き、「あすみん」にたどり着きます。
「あすみん」の中はたいへん静かでほっとします。

今回は久しぶりに四戸智昭先生をお呼びしました。
毎回そうですが、約2時間半、先生のお話はいろいろなケースを引き合いに出され、世相に厳しい批判を加え、経済一辺倒の社会の抜け目ない策略を指摘され、厳しいお話の中に笑いを織り交ぜ、緊張の中にも何度も笑い声が上がります。
やはり会場にお越しになり、自分の目で見て耳で聞いて現実感の醍醐味をぜひ味わってほしいものです。
先生のお話をまとめると言うのでは、先生の話の意図を正確にお伝えすることはできません。
メモ程度のことにしても記録担当者の独断と偏見にまみれてしまいます。
そのつもりで批判しながらお読みいただければ幸いです。
そして何かの機会に間違いやご批判をお聞かせください。(担当 吉村)

〇否認と合理化・転移と逆転移
今回こちらから夫婦の問題として視点を移してみるようなテーマ「女の現実・男の幻想」を先生に出していましたが、先生のほうからぜひお話しておきたいことがあると切り出されたことが、カウンセリングの場で起こりがちなこと、「否認」と「合理化」、「転移」と「逆転移」が常に繰り広げられている、ということについてです。
否認と例えば、子どもが精神疾患の名前を当てられることに親は受け入れるのに時間がかかります。
そして何とか言い逃れの口上を探します。
そのことを合理化といい、「イソップ物語」の狐とブドウの話のように(ブドウを取ることができないと分かったキツネが「どうせあのブドウは酸っぱい」と自分を納得させる噺)、受け入れがたいことから目をそらすこと。
意識的というより無意識にやっているから気が付きにくい。
せめてこのような心の仕組みを知っておくことでいくらか害を減らせるでしょう。
転移とはクライアントが不満などを相手を間違えてぶつけてくること。
私たちよくやります。相手が違うとわかっているのだけれど口に出さずにはおれないと言う状態でしょうか。
逆転移とはクライアントの力になりたいと熱を入れる‥そこには支援者の感情が入り込む。
精神科やカウンセリングの場面ではよく繰り広げられている転移や逆転移に気が付いていない支援者には気を付けたほうがいいと言うお話。

〇女の現実、男の幻想
面談の場面で気が付いたこととして、夫婦が一緒に面談の場に現れるとうまくいかないと言うお話。
男女の違いがここにもあると言うお話から繋がって、アメリカ映画「世界戦略の勧め」の紹介へ。
映画のストーリーは“これまでの侵略戦争の結果、全く良くならない国・アメリカ合衆国。 米国防総省の幹部らは悩んだ挙句、ある人物に相談する。 それは、政府の天敵である映画監督のマイケル・ムーアであった。 幹部らの切実な話を聞き、ムーアは国防総省に代わって自らが“侵略者"となり、世界各国へ出撃することを提案。 ムーアに課されたミッションは、世界各国の様々な『幸せ』の形を根こそぎ略奪し、アメリカに持ち帰ることであった”という筋。
映画ではアイスランドの女性たちの活躍、社会で会社経営や政治家など社会的に大きな役割を持っている情景が出る。
女たちは持っているものをみんなに分け与え、地域の人たちと一緒に幸せになろうとする。
男たちはテストステロンというホルモンにより、そのせいでパワーゲームに勝ち、隣の人より多くのものを持とうとする。
女性たちのほうが自分や自分の家族だけでなく、地域や社会の仲間とのつながりの中で幸福になろうとする本能を持つという、そんな映画を紹介されました。
女性と男性の違いを考えるこの映画は興味深いです。

〇統計からみる男女の格差
統計からみる男性と女性の格差について~各国との比較例を表で見せていただきました。
男は外で働き、女は家を守る、という考え方をしている人の比率はやはりアメリカ、フランス、韓国、スエーデンの中でも日本がダントツ男性女性とも多い。
6歳未満の子どもを持つ家庭での男性の家事育児関連時間も、日本は1時間ばかり、その他の国は日本より多く、北欧の国は特に多い。
結婚、出産後の離職はまだまだ多い.M曲線と言って、女性の就労はMの字型をしている。
ただ今日本の若い女性たちもパートで働かなければならなくなって、仕事は男、家事は女という図式も現実では怪しい。
むしろ女は家の守りというのは理想であり、幻想なのかもしれないと先生は付け加えられました。

〇ひきこもり問題を持つ夫婦の場合の男女差
お父さんとお母さんの対応の違いで問題があるケース。
子どもと10年来話していない夫に妻は息子と話してほしいと願う。
お父さんは何を話していいかわからないというので、天気のこと、体の調子なんか無難な話題だとアドバイスしたらお父さんは実行したが、息子から嫌われ、お母さんにやめさせろ、と強い口調で言われる。
機嫌を悪くした息子を見てお母さんは息子の言いなりになって結局お父さんの試みは中断した。
母親が落ちりやすい共依存によって、せっかくの息子の変化のプロセスが止められてしまった。
プロセスには暴力的なことなど予期しないことが起るが、現状を変えることに耐えられない女性。
一方父親は車一台を売り込むという企業戦士の夢、幻想を追うことが仕事である現実がある。
しかしもう企業戦士の時代ではなくなっている。
ただ世界は今トランプ大統領しかり、ブラジルの大統領選挙でもトランプ氏以上の自国至上主義者が現れている。
今のアメリカでは純粋のアメリカ人はいないはずだが、いわば幻想の国造りではないか、と先生は言われる。
こんなことも言われました。
“飛行機がなぜ飛ぶのかは証明されていない。うつ病にセロトニンが処方されるが仮説の段階なのだ”と。
ということは何事も絶対に信用できる真理はない、一人一人がどう思うか、どう自分の生き方の選択肢を選んでいくかは自分が決めるしかないと言うことだろうか。
まことしやかなコマーシャルやオレオレ詐欺など、本物と偽物の区別ができない勧誘が横行している時代だからこそ、本当に自分が主体性を持つことが大事だと言うことでしょうか。

質疑応答例
後半質疑を受け付けたり、オープンカウンセリングで会場の皆様からのご相談を受け付けました。
先生にはあまり整理が十分ではない質問にも、問題点をうまく引き出してお答えいただきました。
その一例をご紹介します。

〔Q〕ひきこもり依存症の私から脱出するために、 何かに熱中すること(アデイクション)に意味があるのだろうか
◎アデイクションについての説明を先生から初めて聞いたように思うのですが、 “人はアデイクションなくして生きられない。アデイクションは人間の本能であり、なければ死体と同じだ。親がひきこもりの子に依存している状態からぬけだすには新しい依存する対象が必要だ。欲求とか快楽を探すことが必要だ。アデイクションがあったから人は進歩してきた“ というのは目が覚めたようでした。
なぜ親たちに、カウンセラーさんたちが趣味を持つようにとか、楽しみを見つけるようにと言われるかが分かりました。

〔Q〕ひきこもりの親たちは困っていてもなぜか自分から申し出て来ないが、どうしたものか
日本人は周りに気遣う恥の文化に生きている。親の会はその恥を薄めることに貢献できるといいのではないかと言われたうえで、なぜひきこもりの親たちが行動を起こせないのかを先生も考えられ、4つのキーワードがあると紹介されたのが次の4か条です。
(18年2月号講演会の記録でもご紹介しました)

親が避けるべきこと4か条【ACID(酸っぱいこと)】

1.無気力(Apathy)を避ける:ひきこもりの解決のために自分から動くことができる。一つの解決方法だけに固執しない。様々な情報を求めようとする。

2.支配的になることを避ける(Controlling):自分が小さく無力であることを認める。自分に問題を解決する力があると過信しない。

3.孤立を避ける(Isolation):変化を受け入れる。自分の理にかなっていないアドバイスを受け入れることができる。

4.他者依存的になることを避ける(Dependence):専門家やパートナー任せにしない。


〔Q〕時代が変わり価値観が予想もしないくらい大きく変わってきたのだろうか。
この20~30年精神科の疾患名が増えたが、職業の数は減ってきた。
コミュニケーションをとれなくてもこつこつとやっていく職業が減り、謝ったり、人に気を使わなければならない“感情労働”が増えた。
フライトアテンダントも宅急便のお兄さんたちもそんな技能が必要になっている。
それに適応しない人たちは働く場がないので、発達障害の範囲が広がり、うつの患者さんが増え、インターネット依存症とかの病名をつけることで免罪符にしようとしている。
勿論病気で苦しんでいる人たちに治療をすることは必要だが、依存症専門の病院でネット依存症の治療が数年前と変わらないキャンプで直すと言うのはどうなのか。
今の中学生は学校の勉強と部活とラインしかしていない。
新聞も読まないので市長さんの名前も知らない。住んでいる世界が狭い。
こちらのほうが気がかりだということ。

〔Q〕兄弟姉妹の関わりについて
兄弟姉妹は当事者がいることで影響を受けるのかという質問について、現在兄弟の方は離れて暮らしていることがよかった、と先生。
斎藤環先生も兄弟姉妹は関わらせるなとはっきり言っておられたと思います。
今後親亡き後の問題がクローズアップされてきますが、本当に関わらなくてすむかどうか課題ではないでしょうか。

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<11月の催し物案内>
●大牟田 “80・50問題” 連続講座 第4回
   成年後見の活用~親亡き後問題への備え~
 

日時  : 10月30日(火)14:00~16:30
場所  :大牟田市文化会館  2階  第三会議室
     大牟田市不知火町2-10-2 
     電話:0944-55-3131
講師  :司法書士  渡邊 慎一郎 氏
参加費等:無料 参加申し込み不要 ==============================================
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<1月の催し物案内>
久留米の会 第2回目のフォーラム
 「わが子を社会につなごう~あなたは一人じゃない・様々な支援の形~」
 

日時  : 平成31年1月27日(日)13:30~16:30
  支援事業紹介
   ①福岡県ひきこもり地域支援センター
   ②筑後市社会福祉協議会
   ③障がい者就労継続支援事業所 「まんまる」
場所  :エールピア
     久留米市諏訪野町1830-6
参加費等:無料 参加申し込み不要
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投稿 Ⅰ 町田さん講演会記録「ひきこもりからの脱却と苦悩」を読んで  

会報読みました。大変な作業、ありがとうございます。
当事者のその時々の想いが、良く分かり、とても良い記録になっていると思います。
自分の経験と重ね合わせるので、「あの時の息子の気持ちも、コレと同じようだったかなー」と、暫し、ボーっと回想するので、読み終えるまで時間はかかりましたが、このお話を短縮するわけには、いかないと思います。
それだけ、第三者と繋がりを持つことは、長い道のりだったと思うからです。
今でも回避行動は、完全には治っていないと言われていますから。
自分の弱さを吐露されたことが、また、共感を呼ぶと思います。
息子に読ませたいですが、読んでくれるかな?
タイミングが難しいですね。
本当に、骨折って下さって、ありがとうございました。
この頃、私がいつも思うのは、息子や娘たちが、第三者と繋がらないと嘆くより、自分自ら第三者と関われば良いのにと思うのです。
私がいろいろ行っていたら、最近、よく顔を合わせる方と、知り合いになり、メールし合うようになりました。
その方とランチと講演会のセットで楽しくなりましたよ。これも縁ですね。
あと、今までの人生を振り返ってみると、私も「ひきこもり」になりそうな出来事が、いろいろあったなぁと思うのですが、ならなかったのはなぜだろう?と、回想中です。両親のおかげなのか?気質なのかと。    (F)

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ「楠の会だより」をご覧ください。
なお、当ホームページに「楠の会だより投稿」のサブページを設置しました。
こちらの方もご利用ください。☞楠の会だより投稿      

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福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者の独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、「楠の会だより」をご利用ください。

★ 福岡東部の集い 10月20日(水) 13:30~16:30 (コミセン和白 ) 参加者 10名


東部の会ではいつものように悩みを語り合いあるいは受け止め、心を洗われる時間を過ごしました。
詳しくは申し上げられませんが、それぞれのご家庭の現状をメインに、町田弘樹氏講演会のこと、障害年金のこと、ひきこもり体験談などについて語り合いました。
なお、参加された森本豊さんから、「こころの病ほぼ回復記念ピアノ弾き語りコンサート」を11月24日14:00からそぴあしんぐう小ホールで開催する(入場無料)、との情報をいただきました。
お時間がありましたら足を運んでみられてはいかがでしょうか。
蛇足ですが森本さんは引きこもり経験者として執筆や音楽活動など多方面で活躍されています。 (K)    

★ 福岡の集い  10月30日( 火)14:00~17:30  (あすみん)   参加者 23名


今回は久しぶり四戸先生がおいでになるので楽しみでした。
毎回思うのですが、自分自身が先生のお話しの聞き方が違ってきていると思います。
先生のお話が理解できるようになったと言うことでしょうか。
特に今回は他では聞けない裏話?を聞けた気がします。
意外に息子本人が言っていたようなことなので、彼に聞かせられたらよかったと思ったことでした。
私は息子を何とか社会に出そうとして来て、彼は今派遣の仕事をしていますが、先生のお話を聞いて、社交嫌いな彼に無理強いをしてしまったのではないかと、反省しました。(F)

★ 宗像の集い  10月17日(水)13:30~16:00 (メイトム宗像) 参加者 女性7名 男性2名


①映画「海洋天堂」 98分をみる
大牟田や筑紫野の集いで好評だった映画を鑑賞した。
余命3ヶ月の水族館職員と21歳の知的障害を伴う自閉症の息子の物語。
父は預かってくれる施設探しに奔走し、服の脱ぎ方、卵の買い方と調理、バスの乗り方などを教え、服に迷い子札を縫い付けた。
おかげで周りの多くの人との絆を繋ぐことができ、最後に親子の信頼の絆を息子の大好きなものに託して天国に立って行った。
残せるものを何ひとつ持っていない私は、色々な支援機関を訪ねて、絆を作っていかねばとの思いを強くしました。
焦ってはいけないとは思うが、まだまだ時間があると悠長に考えてもいけないと思いました。
②参加者によるフリートーク
・子どもに対して、これ言ってはいけない、あれやったらいけないと、10年も続けると疲れてしまって、ついきつい言葉が出てしまいます。そんな次の日には好きなデザートをそっと冷蔵庫に入れておきます。ごめんねという気持ちを添えて。
・子どもには言いたいことをすべて吐き出させます。その分自分に溜まったストレスは、外に出て楽しいことをやって気を紛らわせます。
③福津市役所の広報担当が見えました
・今年4月、新聞に載った80・50問題やその他の福祉問題対応の特集記事作成のために見学(取材)に見えました。
次回予定 11月21日(水)13時30分~ メイトム101号室です。 (A男)