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楠の会だよりNo.186号(2017年12月)記事より

   〔詩〕 冬が来た   

きっぱりと冬が来た 
八つ手の白い花も消え 
公孫樹(いちょう)の木も箒になった

きりきりと揉みこむような冬が来た 
人に嫌がられる冬  
草木に背かれ 虫類に逃げられる冬が来た

冬よ 
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ 

しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た
           (高村光太郎「道程」より)
  
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<12月の講演会案内>
講演会 引きこもりを考える
 ~引きこもりの現状とそれからの未来をみつめて~

      
     <12月9日完了しました>
 
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<今月のトップ記事>

2017年、1年を振り返って

〇福岡市精神保健福祉センター主催「研修会」に参加して
先日12月1日(金)福岡市精神保健福祉センター主催のひきこもり研修会に参加しました。
今はどこでもそうしているかどうかわかりませんが、ひきこもり支援の重要なこととして、年に2クール家族教室を開き親への支援が強化されています。
ひきこもりの若者と社会をつなげるために家族ができることについて学ぶと言うのが趣旨です。

それは<①家族自身の負担を軽減する。②家族関係を改善する。③ひきこもり本人の相談機関利用を促進する>として、認知行動療法を基礎にしたプログラムであるCRAFT(クラフト)をもとに、オリジナルなワークブックを作成し、コミュニケーション技法を具体的に学び、身につけることを目的に「ロールプレイ」を導入されています。
福岡市の取り組みは全国の自治体の中でも大変評価が高いと聞いています。
今後周辺自治体のモデルとして普及活動をされることを願います。
最後にセンター所長本田洋子先生が紹介されたお言葉が印象に残りましたのでここにご紹介します。
 ☆希望とは絶望を分かち合うこと
 ☆自立とは依存しないことではなく、依存先を増やすこと

〇楠の会はセルフヘルプグループとして
私たちはセルフヘルプグループ(自助活動)としてプログラムもなく自然の流れでやっているところがありますが、福岡市精神保健福祉センターの家族教室とほぼ同じような意味合いをもっているのではないかと思いました。
公的な機関と当事者会とは内容が同じようであっても、当然ですが設立の趣旨が異なっています。
それぞれの特色を知ったうえでともかく自分で解決しようとするのではなく、家族以外に何か支援を求めていくことが第一歩であることは変わりなく、次に継続していく気力を仲間や支援者の中で得ていくことが大事なことも同様です。
セルフヘルプグループの特色を挙げてみます。
その一つは現にひきこもりを体験しつつ日々を過ごしているので一つ一つの体験がまぎれもない生の事例であることです。
ここで重要なことは語られることをその場以外に出さないという安全が保障されていないと、親が自分の生の体験を話すことができません。
それは本当に大事なことで、会の始まる前に約束することにしています。

〇ひきこもり長期化の出口
研修会では長期ひきこもりの場合は「外に出ること」が目的ではなく、「外に出られない」原因となっている症状(著しい対人恐怖・強迫症状・被害感情等)の軽減に努めると話されましたが、医療の利用も一つの選択肢です。
ただある長期化高年齢化のケースでしたが、母親の内職の関係で来る犬を連れた奥様と会うようになったとか、親の人の輪から予期しない子どもの改善がおきるケースもよくあることです。

〇チャンスをつかむ
親が子どもに肝心な話ができないで困っているケースはたくさんあります。
やはりチャンスは家族に何か変わったことが起こった時かもしれません。
あるお母さまのお話ですが、可愛がっていた犬が死んだので子どもと一緒に祭場に行ったとき、思い切って一人暮らしを提案することができた、ということでした。

〇家族会議を開いてみる
チャンスと言えば、親のどちらかが病気になった、介護を受けることになったとか言う時に家族会議を開くこともおすすめです。
兄弟姉妹はゆくゆく、働けないきょうだいの面倒を見ないまでも気にかけざるをえない状況にあるでしょう。
父母と、できれば本人も同席してきょうだいの意見を聞いてみる機会をもつことで、親自身も先への展望がつかめますし、本人も現実に直面する機会になるでしょう。

〇最後に、
自助グループの弱点をあえて申しますと、会の運営を支えていってくださる人がなかなかいないことです。
平成29年も終わり近くなりました。
この苦境を助けて下さる方を探しています。大きなお仕事はありません。手作業とお知恵拝借ぐらいです。
むしろ最新の情報に接することができ、情報交換も増え、勉強になります。
ぜひよろしくお願いいたします。
              (会報編集委員 吉村) ==============================================

<今月の投稿から>

親父の心配は尽きない      親父の会 U

我が息子の後日談をお話しします。
いつもは半年しか続かなかったが今回は3月から就職してまだ勤務している。
中学時代の神奈川県の女性同級生から「みんな参加を待っている」との熱心な電話勧誘で同窓会に参加し、2次会まで付き合ってカラオケで歌ったりしたのがよかったのだろうか。
職場への不満をぶつけることも減った。
たまに私がアドバイスすると過剰反応することがあるので、興奮がやむまでジッと耐えることにしている。
あとで反省するのか私の好物を買ってくる。
しばらく優しい態度になり、また自費で食材を購入し料理も作っている。       
特に柴犬が好きで複数の親父さんから「息子さんにうちの犬を大変可愛がって貰っています」と、感謝の言葉をいただく。
今週休2日なので大丈夫かと心配になるが、犬の飼い主との会話に慰みと励ましを頂いているのではないかと思う。
私も近所にいる息子の友人に会いに行ったり親に挨拶に行ったりしている。
最近支援者で私の友人から「息子さんに嫁さん世話しましょう」と言われ嬉しかったが、まだどうなるかわからないので丁重にお断りした。       

また我が家に下宿中の大学3年生の娘の子ども(孫)は深夜バイトの割増賃金に魅力を感じてか、午前三時ごろ帰宅し夕方出かけて外食し、アルバイトでほとんど学校に行っていないようで、又外泊も多いので密かに心配していた。
成績表は家元に送られているとのことで娘に電話したら、「息子を信頼しているので、いらぬ心配」と何も知らないでぬかすので、思わず「馬鹿野郎」と怒鳴り上げた。
孫は親に事実を隠している。
私は友人の元教授にたのんで成績表を取り寄せて聞いたところ「この調子では5年卒業も難しい」と聞いたので、本人には4年で卒業すること、そして必ず就職するように、そのためにバイトの見直しを言い渡し、そうすれば今後も援助することを約束した。
彼の弟が後に我が家に入居予定なのだ。
私は今平均寿命で余生は幾ばくも無い。
最近はこのような学生が多いとのこと。
親も子も世の中をイージーに考えている。

ぷんぷん!じいちゃんはつらいよ‼

<11月の投稿から>

KHJ東京大会に参加して   サポーターF・S

(1)「楠の会」サポーターになった 
 ほぼ1年前、私が「楠の会」にコンタクトをとったのは、近親にひきこもり風の気になる状態の者が2人いたためだ。
このうち1人は、現在、体調がいいらしく比較的元気に作業所に通っている(らしい)。
もう一人は、筋金が入りの医者嫌いと聞かされていた年長者で、自分の体の不調を放置し続けて、救急搬送で入院した時には、基礎的な健康状態に深刻なダメージを受けていた。
一進一退の治療を数か月続けていた彼は、今年になって、あっけなく他界してしまった。
医療を遠ざけていることに気をとられていたが、実は「ひきこもり」と考えるべき人であったことが、亡くなった後で了解され、それなりに近くにいてもよく見えないのが「ひきこもり」であることを痛感させられた。
そんな体験も重ねながら、私は「楠の会」のサポーターになっていった。
カウンセラーとして仕事をしている身ではあるが、ひきこもりへの対応は、未知の世界であったことから、自分の勉強のためという思いもあった。

(2)「生き方の多様性」とは   
今回、10月28・29日の東京大会への参加という機会にめぐまれた。 参加してみると、真剣で気迫に満ちた意見と様々な個別の体験・事情が、次々に耳に入ってきた2日間であった。
それらを今もって自分の中で消化できず、満腹感いっぱいの状態が続いている。
そのなかで、印象に残るのは「生き方の多様性」という言葉だ。
このことばについて、ここで頭の整理をしてみたい。
大会のテーマ、『つながろう~生き方の多様性を認められる明日(地域社会)をめざして~』にも出てくるこの語は、人のもつ見栄や誇り、つまり価値観のことを言っていて、他者の価値観に寛容でありたいし、他者からも大らかに対応されて生きていたいとの思いを表現しているのだと思う。
しかし、この社会を生きる方法がそう多くはないのも現実で、どこかで稼がないと生きていけないのだから、ひきこもる息子や娘に対して、親として何かの手立てをと心配するのはあたりまえだ。
今、親のこんな心配は、親亡き後に向け、ギリギリの線(65歳以降平均余命を全うするまでの生活費として2000 ~3000万円必要)が具体的に提示されて語られている。
親の財産の洗い出しの後、親子の話し合いと了解のもと、収入を少しでも増やし支出をできるだけ減らす工夫が求められているのだ(2日目分科会「ひきこもりの家族のお金を考える」)。
そんな厳しい現実のなかで、しかし、ギリギリの実情を生きて行くことを了解すれば、そこに「生き方の多様性を認める」関係が開けてくるということかもしれない。
思えば、私たちはどうしても欲張りで、見栄や誇りが捨てがたい。
それがその人の生き方だから当たり前なのだが、当人のもつ価値観を他者(子ども)に求めて突き進まない自制心をもち、さらに、より広い関係の人々を縛らない大らかな配慮が意識的になされる時、風通しのいい人の関係や社会ができていくのだろう。

(3)「生き方の多様性」を先導する人々   
生き方の同質性を強要するこの社会(その典型として「選択的夫婦別姓」への不寛容さ)の制度や人々の言動が息苦しくてたまらない、と憤りの発言をしていた元当事者のことが思い出される。
わが社会の多様性の少なさが新時代の技術開発の遅れを招いているとの主張などを聞くにつけ、この社会を本気で変えていくのは、ひきこもりの当事者の、存在そのもの、身体をはった主張なのかもしれないとも思う。
だとすれは、彼ら・彼女らは時代の先端に立つ人々だ。
当事者のそばに立つ、サポーターの役目の重さを改めて考えずには、おれない。

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今月は他にも素晴らしい投稿記事があります。ぜひ会報ページをご覧ください。      

 

福岡「楠の会」支部会だより

数ある支部会だよりからいくつかの支部をWEB編集者独断で選んでいます。他の支部会の状況をご覧になりたい方は、楠の会だよりNo.186号をご利用ください。

★ 親父の会  11月18日 中央区平和3丁目市営住宅集会所

① 過去2ヶ月間で行われた会の5行事のポイントと感想を報告      

「ひきこもり長期化・高齢化の打開に向けて~医療から見たひきこもりへの多角的アプローチについて~」九大病院 加藤先生の講演についてはテーマに沿って研究者としての世界的見識に今までにない大変に有意義なものであった。
それは ⑴ひきこもりに関する国内外の知見 ⑵精神疾患との併存 発生順位は統合失調症、うつ病、発達障害、その他で詳しく解説されて新鮮であった。⑶九大病院に本年国内初の気分障害・ひきこもり専門外来を開設し病態の評価と活動場所の提供 ⑷現代うつ病とは ⑸ひきこもりの経験者ができる職業(小説家、仙人、研究者など?) ⑹発症から支援までに4.4年かかっているという報告があり、なるべく早く受診を、と。
原因は親の不安・恐怖・知識不足・支援の存在を知らないなど。
救出の鍵は第1ステップとして家族会への参加をお勧め。

② 自助グループミーティングで話題になったこと      
息子を医療につなげ入院治療をへた後、自分から進んで福岡市内に独りで暮らしたいとの申し出があり、親は不安もあったが定期診断を条件として独立を認めた。その土地に一人暮らしをした経験があったから。
また得意の油絵で猫を描いたのを院長から激賞され、自信を得たようであった。
時々家族一緒に食事をしている。
まだ父子のコミュニケーションがスムーズではないのでこれからの努力目標です、ということ。      

しばらくお休みされていたボランテイア支援者の方も久しぶりに見えて、にぎやかでした。
私の子どもの話は投稿をご覧ください。

③最後に各人楽しいかった事、うれしかった明るい話題を話し皆笑って閉会  
宮本常一の名言集より、「自分を殻に包んではいけない。もうこれで良いと思ってはいけない。そういう自分を突き崩していく。」 
 父親が本人回復のキーマンだ! 
        (親父の会担当U)    

★ 久留米の会 11月24日(金)14:00~ 16:30(えーるピア)  参加者/ 10名

最初に話題になったのは、筑後社会福祉協議会から佐賀のひきこもり支援センター&サポートステーション(NPO法人スチューデントサポートフェイス)を見学されたことを話していただきました。
代表の谷口仁史さんの取り組みが最近テレビで放映されたばかりでした。
綿密な計画の基にアウトリーチ活動をされているとか、大変興味深く思いました。

次にいつものとおり順番に近況や困りごとなどを話してもらいました。
各家庭では、「会話が増えた」、とか「何となく歩み寄りがみられる」など少しずつですがよい方向になってきている様子です。
今回も鳥巣さん(福岡若者就労支援プロジェクト)が来てくれましたが、子どもとの会話に行き詰っていると言うことに対して、「どうしたらいいと思う?」とか「どう思う?」と親から相手に質問を問いかけてみたらどうか。
親は結論を言わないこと、そしてその言い方を日頃練習しておかないととっさの場に口から出て来ないよ、というアドバイスは よかったです。
また親から離れて支援者の近くで独り住まいをするというチラシを持ってこられました。
考えてみたいことです。(N)